その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。
おばあちゃん
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「西の魔女が死んだ」は、梨木香歩による作品であり、1994年に単行本が、2001年新潮文庫で文庫化された。第44回小学館文学賞を受賞、その他にも第28回日本児童文学者協会新人賞、第13回新美南吉児童文学賞を受賞している作品である。2008年には「八月のクリスマス」の長崎俊一監督により実写映画化され、主演はサチ・パーカーと高橋真悠が務めた。 この物語は、中学に進んで間もない主人公まいが不登校となり、まいの家族の間で「西の魔女」と呼ばれている大好きなおばあちゃんの家にまいが居候することになる場面から始まる。自然とふれあいながら「早寝早起き、食事をしっかりとって、よく運動すること」というおばあちゃんから教わった掟を渋々守り生活を続けていくまい。おばあちゃんや自然、自給自足の生活と触れ合いながらまいは自分の抱える苦しみをおばあちゃんに打ち明けると、おばあちゃんはまいに魔女になるための試練を与える。自分の居場所を探すのにピッタリの参考書として人気の作品である。
「不思議」を大事に書いているイギリス留学中に児童文学者であるベティ・モーガン・ボーエンに師事した、という梨木香歩、本作はタイトルに「魔女」とうたっていることもあり、いくつかの不思議が描かれているのだが、それらが漫画やアニメの「魔法少女モノ」のように明確でなく、大事にぼんやりと描かれている。おばあちゃんのおばあちゃんが結婚する前のこと、まいのお気に入りの「場所」での奇妙な声、同じ場所での美しいビジョンなどだ。これらはまいの体験としてはどうとでも取れる。それはスターウォーズの「フォース」やハリーポッターの便利ツールとしての魔法とは明確に違う。生活の中で自然を共有し、自分を律して正しく生きようとするものが感じられるサイン、という程度だ。児童文学として考えても「このように生きて立派な大人になってほしい」という作者の願いが汲み取れる。また、「不思議」がおこるタイミングがまいが実社会の常識、思想、...この感想を読む
お婆ちゃんとの思い出がある人なら、読んでいて何処かでキュンとくる瞬間があります。好きな人は好きだと思います。主人公が感じる息苦しさをどう克服していったのか…中学生の子供と親との距離感とか祖母と孫の距離感とかが、とてもリアルで良いです。自分のことは自分で決めるということ、ただそれだけなんですがそれだけで回復していく主人公のことを見守る周りの温かさが素敵な作品です。映画も観ましたが、とても良かったです。映像で観る世界観と小説で読む世界観が同じですごく良かったです。子供が読める年齢になったら、子供にも読ませたい小説です。色んな人の気持ちに触れることのできる良い小説だと思います。
先に、映画化された方を見ていて、とても美しい映像が多く、好きな映画なので、原作はどうなのだろうと、楽しみに手に取りました。結果、とても忠実に映画化されていたことがわかり、頭の中で、美しい光景が広がり、大変満足のいく作品でした。いつか、セットのある、山梨県の清里高原を訪ねてみたいと思う程に。「群れる事」をしなかったため、いじめの対象になり、学校に行けなくなった、中学一年生の少女、まい。その後、彼女は、母方の祖母の家に約1ヵ月間預けられ…引っ越しをきっかけに、両親の元に戻り、2年後、祖母が死んで、預けられた1ヵ月間を思い出す…というストーリーだけれど、こんな素敵なおばあさんとの生活なら、きっと楽しいだろうなと思いました。ラストも素敵です。きっと、おばあさんは、まいが、ヒメワスレナグサと呼んでいた花を大事にしていたのを知っていて、大事にしてくれていたのだろうと。そんな優しいおばあさんの魂は、...この感想を読む
おばあちゃん
クラスで仲間外れに合っている孫が自己責任をを感じている場面での発言
おばあちゃん
孫娘のまいが、意志の力をつけるには、どうしたらいいの?とおばあちゃんに相談しているシーンです。「意志の力って生まれつき決まっているんじゃないの?」と問いかけるまいに、焦らずに磨いていけばきっと変わることができると、おばあちゃんが諭すセリフです。
おばあちゃん
まいがおばあちゃんに何がまいの幸せかと訊かれ、わからないと答えたところから。