スピンオフなのに本編の良さが薄い。読み手を選ぶ作品。万城目流小細工上手は健在
正直、最初はどうよ?と思った万城目学のデビュー作「鴨川ホルモー」は実に面白かった。オニバトル=ホルモーとコミカル純愛が実に程よくブレンドされていて読み味の良い作品に仕上がっていた。本作はそのヒットを受けてのスピンオフだ。「鴨川ホルモー」刊行から1年半しかたっていない。本編がボイルドエッグ賞を受賞してのデビューという事もあり、話題と販売数に勢いがあるうちにもっと売っておけ、という商業性の表れかもしれない。そのものがなかなかデビューに至らなかった過去の反省から、「鴨川ホルモー」は売れる方法を考えて書いたという趣旨の事を言っているので、そもそも商業性に根差すことは抵抗が無いのだろう。本作は意図的に本編とはテイストを変えているようで、不思議度を押さえ、「「恋」をテーマに置く、と最初に決め」たらしい。(出典:本の雑誌社 作家の読書道インタビュー)そもそも娯楽性が強く気楽に笑って読む系統の話なので...この感想を読む
3.03.0
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