ブラフマンの埋葬の評価
ブラフマンの埋葬の感想
読んだけど意味が分からなかった、という人に、本作の楽しみ方教えます!
ブラフマンが何か、などと考えてはいけない本作のレビューや感想では、そもそもブラフマンはなんという生き物か?という考察が目立つ。無論、感想は人それぞれ、考えたい人はいくらでも考えて良いのだが、私はあえてそこは考えない。ブラフマンという言葉の意味を、本作では「謎」としているので、答えは無い、と小川洋子が言っているのだと思う。水かきがあるし、泳ぐのが好きそうだからカワウソとかかな、くらいの感覚でも良いし、単に架空の生き物と考えてもいい。そこに神経をとがらせるより最初は、なんだかわからんけどめっちゃ可愛い! と思って読み進めば良いと思う。 小川洋子は、与えないと決めた情報は徹底して書かない。多くの場合、私とか僕とか主人公に固有名詞を与えない場合、その主人公の容姿もほとんど記述しないことが多い。読んでいるあなたとして考えてほしい、という事なのかもしれない。それと比較して考えれば、ブラフマンは容姿...この感想を読む
謎の生物、ブラフマンとの出会いから別れまでの話
どこの国かもわからない、匿名の場所に、固有の名前を持たない人々と、「僕」に名前を付けられた、謎の生物、「ブラフマン」の出会いから別れまでの話です。ブラフマンは、私の想像上は、最初、犬でしたが、ひげと水かきと長いしっぽを持つ、と書いていたので、違うなあ…と感じ、そのうち、ブラフマンがなんの動物でもいいじゃないか、と思うようになりました。だって、きっと、とてもかわいいに違いないから。「僕」の方が、余程謎の人物です。きっと、「娘」の事が好き、なのだろうと思いましたが。僕を信頼し、大好きなブラフマンが、あっけなく死んでしまい、埋葬される事になってしまい、そういう話だと解っていても、悲しかったです。ブラフマンを見つめる僕の眼だけが温かで、あとは静かで冷たい雰囲気の漂う話でした。