峠のあらすじ/作品解説

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峠のあらすじ・作品解説

峠は、司馬遼太郎の長編時代小説である。司馬遼太郎は1923年8月7日生まれの大阪府大阪市出身のノンフィクション作家である。1960年「直木三十五賞」1966年「菊池寛賞」など数々の賞を受賞している。 幕末の雪深い越後長岡藩から一人の藩士、河井継之助が江戸へ。河井継之助は、複数の塾に通い、詩文・洋学といったただ単に知識を得るためだけの勉強はぜずに、歴史・世界の動きといった原理を知ろうとしていた…しかし河井継之助は藩の持て余し者でもあり…。 この作品は、1966年11月から1968年5月まで毎日新聞にて連載された。1968年には新潮社より上下巻で初版刊行された。重判では新潮文庫や新装版で販売されている。 河井継之助の名は無名に近かったため、知らない人も多い中、この作品によって世間に広まったことから、歴史小説にも分類されているが、本編中には創作部分も含まれている。 また、河井継之助を主人公にした短編小説「英雄児」も発表されている。

峠の評価

総合評価
4.004.00
(3件)
文章力
4.674.67
ストーリー
4.004.00
キャラクター
5.005.00
設定
4.334.33
演出
3.673.67

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峠の感想

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観念的現実主義者の悲劇

非官軍・非幕府軍の英傑・河合継之助幕末維新の英傑を挙げる場合、高杉晋作、坂本竜馬、大久保利通といった新政府側や土方歳三、勝海舟といった幕府側の人間の名前はよく挙がる。それに対し、知名度はやや下がるものの、その視野の広さにおいては何人が比肩しえたかという人物が越後長岡藩の河合継之助である。本作「峠」は藩の中堅官吏の子として生まれた継之助が、陽明学と出会いその観念性を青春の放浪の中で育み、同時に自身の中に流れるリアリズムをも鍛え上げながら、藩の執政へと上り詰める様が描かれている。彼の生きた時代は幕末の混迷期であり、藩の財政を危機から救った彼も否応なく新政府軍と幕府との争いに巻き込まれることとなる。そして北越戦争の中心人物として賊軍の汚名を被ることとなった。司馬遼太郎にとっての陽明学司馬遼太郎の作品に「陽明学」という言葉はよく出てくる。「知行合一(知は行のもとであり、行は知の発現である)」と...この感想を読む

4.04.0
  • teramasateramasa
  • 332view
  • 2047文字
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「ラストサムライ」河合継之助

激動の幕末、新政府軍と幕府軍のはざまで微妙な立場に立たされた長岡藩の家老河合継之助の物語です。この時代たくさんの英雄が現れましたが、継之助ほど先見の明があり武士の時代はいずれ終焉を迎えると分かっていたにも関わらず、あえて不合理な方法を取らなければならない状況になり、最後まで武士として死んでいった英雄はいなかったのではないかと思ってしまう小説でした。「峠」を読んでいるといかに武士とは不便で融通の利かない人種なのだろうかと思ってしまいますが、あえてその意地というか人生を突き通すかっこよさ、人間にとって「我慢」の大切さを感じさせられます。継之助のように様々なことの先が見える、世の中の将来そのものが見えるような人間にとっては、武士・武士道自体の不合理さ、また自分自身も頭では分かっているのに行動自体は武士として振る舞ってしまう歯がゆさを感じているであろうと想像するたびに切なさを感じてしまいます。...この感想を読む

5.05.0
  • kokohanakokohana
  • 195view
  • 651文字

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