皆さん、こっちが小川洋子の書評ですよ
小川洋子ファンの皆さん、彼女の書評ならこっちですよ同じ小川洋子の名で「心と響き合う読書案内」という本があるが、そちらはラジオ番組の書き起こしで、彼女自身の丁寧な読書案内ではあるのだが、残念ながらラジオであるが故に彼女の魅力である巧みで謙虚な文章の魅力が無い。文章を書くのとラジオトークが違うのは当然の事ではあるが、小川洋子ファンとしては何とも消化不良をおこしそうな本である。しかし、本作は彼女の文章の魅力が全開だ。書評、エッセイ、テーマに対するライティング、いくつかのスタイルがあるが、どれも謙虚で、生真面目で、文章の細部までこだわっている。そして何よりも、文章を書いて生きていく事への覚悟と「私は作家なのだ」という姿勢が見える。彼女の生真面目さのルーツが見える本書は新聞や雑誌に寄稿されたエッセイや書評を集約した形なので一貫して書かれたものではない。そのため時期、内容、テーマはバラバラだ。それ...この感想を読む
4.04.0
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