走れメロスの感想一覧
太宰治による小説「走れメロス」についての感想が6件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
衝撃
メロスは激怒した。この冒頭文を知らない人はあまりいないだろう。私自身も小学生の頃、この作品を読み衝撃を受けた。冒頭でこれほど興味をそそられる作品も、そうはないだろう。読み進めていくと、ん?と思うことは多々あるものの面白い作品である。人を信じることができず人々を殺し、それが平和につながると思っている王とそれに対し反逆し処刑されかかっているメロス。冒頭を読むだけで少しふっと笑ってしまう。王を罵倒するだけ罵倒し、「3日後、妹の結婚式である」といい始めるメロスに驚きを隠せない。少しツッコんでしまうが・・・最後は身代わりの友人のために走って帰ってくるわけだが、最後に思うことは、人はそれぞれ違っておもしろいんだなということ。読んで客観的に気づくこともある。
暑苦しいけど羨ましい
私の通っていた地区では、教科書にも載っていた太宰治の作品の中でも、有名な作品の1つです。太宰治さんの作品は、彼の人生観や生き方を反映してか、厭世感漂う暗めの話が多いの中では、異色なほど前向きで、明るい物語となっています。教科書の教材として読んだ時は、思春期真っただ中、大人の言うことなんて信じないぞという頃だったので、こんな都合のいい話なんてウソ臭いと思った程度で、それほど気にも留めませんでした。大人になって読み返してみて感じたのは、とにかく友人との約束を果たすことだけを考え、がむしゃらに走り続けるメロスの姿は、暑苦しくはあるけど、どこか羨ましいということでした。実際、あそこまで自分をなげうって、友情を大切にするのは難しいことですからね。ただ、この話を読んでいて、自分が友人たちに支えられていることをふと思い出し、ささやかな幸せを感じることができました。
猪突猛進型の人間の自分との戦い
中学校2年生で取り上げられる作品。思春期真っ只中の中学校2年生には大好評の物語文だ。暴君ディオニスは人を信じられなくなった王様。自分の妻・子・臣下。身内をどんどん殺していった。その暴君と無茶な約束をするメロス。メロスは熱い男だ。妹の結婚式の買い物に街に出掛けて、用を済ませたその足で暴君に会いに行く。その手に買い物袋があったかは分からないが。現代に置き換えると、コンビニ寄ってそのままフラリと皇居に行って文句を言う行動に等しい。よくよく考えると熱血漢の礼儀知らず。猪突猛進型の人間だ。日を改めることはできなかったのか?終始、熱血漢メロスの自分との戦いが描かれている。やはり、人生最大の戦いは自分との戦いなのであろうか。
純粋すぎる友情
メロスは走ったで有名な『走れメロス』です。暴君の王に逆らい、友を人質に村に帰り妹の結婚式を挙げてやり、寝坊し、荒れ狂う川や山賊に遭い諦めそうになりながらも走り、友のもとに行き、その真の友情に王が改心する物語です。小学六年生の時、クラスでいじめがあり、その所為なのか発表会の劇は『走れメロス』でした。太宰治の描いた純粋すぎる友情や絆が暑苦しくしんどく感じますが、それだけ太宰治が純粋すぎる人間だったのかもしれないなぁとも感じたり。太宰治はメロスのような人間になりたかったのかもしれません。友情に厚く約束を守る人間に。メロスが一生懸命走っている描写が好きです。走って走って走りまくっています。
走れメロス
教科書にもあった作品で、みなさんにも馴染みの深い作品だと思います。太宰治の作品のなかでは比較的明るい作品です。面白いし短編なので子供でもすらすら読めてしまいます。ストーリーは、処刑されるのを承知で友人・セリヌンティウスのために助けに戻ってきたメロスが人を信じることのできなかった王を改心させるというお話。メロスも途中で「友達はもういいじゃないか」という自分の中の悪と戦うような葛藤の、長いくだりがありますが、そこが太宰治らしくていいです。王はメロスの行動を見て、人を信頼することの大切さを自覚することができてよかったと思います。メロスは王が信頼するために必要なキャラクターだったんだなぁ。
多分これは笑い話
「走れメロス」を友情だの信頼だのの感動物語とか言い出したのは一体誰なんでしょうか。自分が撒いた種なのに親友を巻き込んで身代わりに立て、妹の結婚式に行ったはいいけど疲れて寝ちゃうとか、自分のせいで人の命かかってんのに、もうこのまま逃げちまおうかとか、言語道断にも程があります。もしもこれメロスが時間に間に合わなくても、自分が王様ならセリヌンティウスは殺しません。ワケも分からずメロスの都合で身代わりに差し出されたにも拘わらずじっと待ってたセリヌンティウスの友情に心動かされて。でも遅れて戻ってきたメロスは死刑だな。しかしこれ、太宰の実体験が元になってるらしいというのが・・・(笑)