私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。
和子
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「人間は恋と革命のために生れて来たのだ」という一節で知られる『斜陽』は、太宰治(1906-1948)によって書かれ、1947年12月に新潮社より刊行された長編小説である。発表は雑誌「新潮」に4回にわたる連載による。太宰自身の生家の没落していく旧家の様子を参考に主人公のかず子の家が描かれているほか、チェーホフの『桜の園』の翻案であるとも言われている。1962年から94年までに4度のドラマ化を経て、2009年には太宰の生誕100周年を記念し、佐藤江梨子による主演で映画化もされた。小説の大筋である。かず子とその家族3人が没落貴族という境遇の中であがきながらもそれぞれの結末を迎えてゆく様は、小説の発表当時に大戦のため苦境に陥った貴族階級の間に広く共感を呼び、「-族」という名で1948年の流行語にもなった。 また、青森県五所川原市にある太宰治の生家は、この小説のタイトルを冠した太宰の記念館として親しまれている。
中学生のときに、社会の先生に勧められて読んだ。当時、一番好きな小説だった。あるバンドはこの小説を元に曲を書いたりしている。斜陽は、姉弟の物語。人間は恋と革命のために生まれてきた、という一文で有名だ。戦争をしていた時代の話。作品自体も戦後数年のあいだに書かれたものだ。敗戦後のこころの動き、革命を目指す動き。他の太宰治作品同様、少々、陰鬱な物語。自殺やドラッグはもちろん出てくるし、恋慕や苦しみが描かれている。ドラッグや自殺、セックスなどに溺れるだめ人間を描いたら、太宰治の右に出るものはいないだろうと思う。びっくりするほど、日本語がきれいで、するどい。
本作で一番印象に残っているのは主人公の母がスープを飲む場面。とても綺麗な動作で姿勢もよく・・・というような文章がすごく頭に残っています。没落貴族である主人公とその母はつつましく過ごしていましたが、弟が急に帰ってきてその弟にお金を渡しに行って出会った男に主人公は恋をしているような状態になりますが、「いや、これはダメな男だろ・・・」と読みながら思いつつも主人公は手紙を出したり会いに行ったり・・・。最終的に奥さんもいるその男の子を宿してしまいますし、男も死にます。まあ当事者たちの心の内は体験しないと分からないのでしょうが、どう見てもダメな男に主人公が惹かれていくのに読みながらドギマギしていました。
和子
和子が直治の尊敬する上原さんに宛てた手紙の一節。
和子
和子が離婚や直治のことを思い出しているシーン
和子
引っ越した伊豆の家で和子がお母様とお話をしているシーン