女生徒のあらすじ・作品解説
太宰治による『女生徒』は、1939年4月に雑誌「文學界」にて発表された短編小説作品である。太宰の代表作のうち一つであり、発表された当時、川端康成より高く評価された。 当時19歳だった太宰のファンの女子学生、有明淑によって届けられた日記を下敷きとしていることで有名。年齢等の設定は発表する際に変更されており、14歳の女子生徒が朝起きてから就寝するまでの主観的な思索の世界を描いた作品となっている。主人公の思春期特有の不安定でペシミスティックな世界観が特徴的だとされている。また、発表後に太宰が受け取った日記の著者の有明からの手紙は、1940年の作品『俗天使』に引用されている。 本作品は単行本の作品集に表題作として収録されたが、その後『女性』という1942年の作品にも再収録されている。2015年時点では、角川文庫から発行されている写真家佐内正史をカバーに起用した新装版で表題作として、また新潮文庫から発行されている『走れメロス』に収められている。
女生徒の評価
女生徒の感想
男性目線の理想の少女像を生々しく描いた作品
文体による少女性まず「女生徒」における特徴は文体である。ある少女の1日の流れを描いた作品であるが、行動と思考の両方が彼女の独白によって記されており、読者は文章を追っていくと、女生徒の思考に入り込んだような錯覚を覚える。成熟した女たちに感じる不潔感、あたりの景色や何気ない動作への既視感、学校の友達や教師たちへの軽い批判、飼っている犬への思い、母親への苛立ちと切なさ、そして嫁いだ姉や亡くなった父親への愛慕といった、さまざまなエピソードが凝縮して一日に詰め込まれることで、断片的に次から次へと継起してゆく意識の流れを疑似体験させられるような感覚になるのだ。この感覚に、私たち読者は思春期の少女特有のふわふわとした頼りない様、ひらひらとスカートを揺らして歩く少女の姿を連想させられる。まだ筋の通っていない未完成な少女性を表す文体としては優れていると言えるだろう。少女の持つ成熟嫌悪女生徒がバスの中で妊婦...この感想を読む
太宰治の思う女生徒
太宰治が女性目線で書いた小説は、いかにも男性の考える女性の目線というか、思考なのではないかなと思います。大正~昭和初期時代の女性がどうだったかは分かりませんが、現代の女性とは違うような気がします。ただ、「ヴィヨンの妻」もそうですが、さすが、とても巧いなと思います。これはある女生徒が朝起きて、夜寝るまでに見たもの感じたことを呟いていく形式で、他の有名作家からも絶賛された太宰治の作品の中でも名作です。どうと言うこともない普通の1日ですが、若い女性の自意識とか、家族に対する思いが繊細に描かれていて、最後まで退屈することがありません。瑞々しさ溢れる、とても優れた短編小説だと思います。
太宰治という人間
物語というより、思春期の女の子のとりとめのない内面を滔々と語っていく、ある意味日揮のような作品です。今の小説のように物語設定や構成だけで語れるような作品ではありません。何気ない、何かを主張するような重い作品でもなく、文芸っぽさを感じさせてくれる作品です。なんといっても太宰治の想像力に感服します。本当に女子高生が書いたようなリアルなとりとめのない感じが表現されていますが、随所に太宰治のエゴとでも言うべき言葉や考えが出てきます。物語としてはそんなに劇的な展開や、とんだ設定は全くないですが読み終わると何とも不思議な感覚を残してくれます。太宰治らしい、奇天烈な作品だと思います。