竜馬がゆくのあらすじ・作品解説
「竜馬がゆく」は、司馬遼太郎の長編時代小説で、1963年から1966年にかけて文芸春秋から単行本全5巻、1988年に新装版全5巻が刊行されている。また、文庫本としては、1974年から1975年にかけて文春文庫から全8巻、1998年に新装版全8巻が刊行されている。 幕末維新の英雄・坂本竜馬を描いた小説で、司馬遼太郎の代表作である。 第二次世界大戦に兵隊として参戦した司馬遼太郎は、「このくだらない戦争を引き起こした日本人は、一体何なのだろうか?」という問題意識を常に持ち続け、「いや、日本人は元々もっと素晴らしかったはずだ!」との思いを明治維新の時代に追い求め、本作品にその思いを込めている。直接のきっかけは、産経新聞時代の後輩であり高知出身の渡辺司郎から、坂本竜馬という郷土の英雄の小説を書いてくれと頼まれたことによる。 本作品をもとに多くのテレビドラマが制作されており、単なる小説の範囲にとどまらず、日本社会に大きな影響を与えた作品でもある。
竜馬がゆくの評価
竜馬がゆくの感想
古いルールに縛られない坂本龍馬
幕末様々な大きな役割を果たした坂本龍馬の物語です。薩長同盟や亀山社中(後の海援隊)の結成、船中八策など幕末に龍馬が関わった有名な出来事はたくさんありますが、何よりも古いしきたりや慣習にとらわれずに発想し行動に移していくということ自体に驚きと尊敬を感じます。龍馬がしてきたことの大きさよりも、当時誰も思いつかないことを考え行動に移していく勇気と自由さに魅力を感じるのではないでしょうか。龍馬が関わった出来事のほとんどが、これから龍馬がしようとしていたことの地ならしにすぎず、本当の坂本龍馬の人生というか物語が始まるまえに暗殺されてしまったような気がして残念でなりませんでした。堅苦しくて不自由・不平等な士農工商という身分制度を取っ払い混乱を落ち着かせ新政府に仕官するのではなく、竜馬と交流のあった岩崎弥太郎が創業した三菱財閥のようなものを作りたかったのではないかと妄想してしまいます。幕末には様々な...この感想を読む
竜馬のイメージを変えた作品
小学生の頃「おーい竜馬」というアニメがたしかNHKでやっていて興味をもって読み始めた作品です。第一巻はとくに龍馬の幼少の頃の話で、男勝りの乙女さんとのやり取りが微笑ましく魅力的に描かれています。いわゆる竜馬のイメージと完全に一致した感じで読み進めていく事ができます。それはこの作品が竜馬のイメージを固定化したのだということを読んだ後で知りました。歴史を動かした偉大な人間の幼少期に憧れを抱きながら読むことができる、あたかも見てきたような描写はさすが司馬遼太郎だと思います。文章も精錬されていて読みやすくも軽くなく、文章というものの意味を考えさせられます。オススメの作品です。
司馬遼太郎の躍動あふれる幕末ファンタジー!
この本は、幕末時代の躍動感を司馬氏が竜馬の視線より第3者的に書かれたもので竜馬の生い立ちから、海援隊から池田屋まで竜馬が時代を走り抜けるがごとく展開していきます。時代の終わりから新しい時代に映る時の人々の様子、変化を受け入れるものと、受け入れないものの両面が江戸と長州と薩摩のようにわかれ、それぞれの地域で新しい物を主張する考えと古き良き幕府を是が非でも守ろうとする幕府サイドの中で竜馬が時代を動かしていく、また木戸孝允、勝海舟などとの政治活動の大胆さ、巧妙さが変化の時代の中で躍動します。京都で新撰組が長州藩の物を殺戮を始める。長州藩の者は各京都の地に隠れ住みつつも反骨の精神を幕府にぶつける。竜馬が登場、鉄砲の斡旋から武器を購入しに北京へ渡ったりと実は多忙を極めた幕末のヒーローを司馬氏が書き下ろした名作。