からくりサーカスについて
読むのに根性がいるけれど読み応えは凄い
からくりサーカスは全43巻あります。けれど藤田先生の作品ですから、その濃さと言ったら倍の86巻分あると言っても過言ではありません。それくらいの読み応えがありますよね。主人公たちはざっくり言って才賀勝という小学校五年生の男の子と、加藤鳴海という19才の青年、そしてくぐつを操るしろがねの三人ですが、一言では語れないほど長い長い物語が続きます。けれど根底にあるのはいつも悲しいくらいの憎悪です。サーカスの物悲しさとあいまって切ない事の連続でした。
主人公たちはいつも必死。死ぬか生きるかの瀬戸際で戦う
なんと言っても見所はくぐつを操って戦うシーン。もう糸とかどうなっているのだろうかというくらい絡まりまくりです。でも勝も最初は戸惑ったり上手く行かない事ばかりでしたが、次第に力を身につけて格段に成長していくところはやっぱり少年漫画だなと思うのです。人は生か死かのぎりぎりになると本当の力を発揮するとも言いますがまさにからくりサーカスは毎回それ。毎回ピンチ、毎回ギリギリ、毎回切り抜け方も寸でのところというやつです。
最後は結局三角関係にまつわる憎悪
この漫画の根底にある憎悪の表現は凄いです。下手したらホラーです。相手を憎く思いまたは嫉妬するということ、勝や鳴海、しろがねはもともと過去にあった三角関係の男女のもつれからくる犠牲になったのだなと思うとやるせない気分になります。が、もう30巻近く付き合った時点でそこでやめるわけにはいきません、最終回までこうなったら絶対付き合うという気持で読んでました。一番気持悪かった思い出は村に笑いながらサーカスが来て村の人を殺害してしまうというシーンでした。こういう残酷でかつ衝撃的なシーンをかけるのが藤田先生です。その前に連載していたうしおととらもかなり大掛かりな話になっていましたが、からくりサーカスはそれを上回るほどのスケールです。だってとうとう宇宙にまで行ってしまうんですからね。昔そういうゲームがあったのを思い出しました。でもどうせなら宇宙まで飛び出しちゃったほうがこの作品らしいなと思います。それにしても兄弟がフランシーヌに恋するも弟の失恋、更に生まれ変わってもフランシーヌの子孫にまで固執する執着ぶり。そしてその憎悪のせいで周囲からの嫌われっぷりが凄まじく、最終的な敵としては悲しい人すぎるとちょっと切なくなりました。それに対して犠牲があまりにも多すぎました。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)