小説家の旅行記
恩田陸さんは飛行機嫌いだそうですが、近ごろはよく取材旅行に行かれているようでよく旅行記を出されています。小説家の旅行記だけあって、どこか創作風(悪い意味ではなく)かつサービス精神にあふれた文章で、小説を読んでいるかのように楽しく読み進められる一冊です。
日本から遠く離れた南米の遺跡の数々をめぐられていますが、以外にも「どれだけ歩くか」や「遺跡を上る階段がどれだけ大変か」や、「ホテルにどんな特徴があってこんなことが困った!」とか、いわゆる旅行ガイドの役目も果たしていることがとても面白いです。同行しているガイドさんもおそらくとても優秀な方で、その方のお話もきちんと文章にされているので、遺跡の歴史や成り立ちについてもとても詳しくなれた気になれます。歴史的な観光地ばかりをめぐっている分、同じ旅行記でも「恐怖の報酬日記」よりも少し固くエンターテイメント性は低いかもしれません。それでも、南米に行っておなじルートをめぐりたい!と思わせてくれました。
そしてこの取材旅行でインスピレーションを得た小説の一部分も紹介されているのが恩田陸ファンとしては嬉しいところ。願わくば早く、本作品を読みたいなぁと新作を待ち望むわたしです。
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