柿の種の評価
柿の種の感想
物理学者の意外な側面
掌編が多数。のんびりしたときに読んでほしいというのが、寺田寅彦の考える、この本の理想の読み方ですが、忙しい現代人にはあまりそんな暇はありません。仕方ないので通勤電車で読みましたが、理系の秀才が書いたとは思えないような、繊細で詩的な、それでいて仰々しくない、とてもかわいらしい作品が集められています。夏目漱石や正岡子規に師事して俳句の心得もあった人なので、自然を見て、それを描写することにとても長けています。子供の頃に好きだったものや場所を思い出して、ふと手に取りたくなるような、人の心を穏やかにしてくれる作品集です。常に手元に置いておきたいと思います。