平凡な文体に潜む抜群の表現力、恩田陸「私の家では何も起こらない」感想
抜群の表現力で綴られる、恩田陸至高のホラー連作短編集。『この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする。』(あらすじより引用)恩田陸といえば、抜群の表現力で小説界に名を馳せるミステリ・ファンタジー作家である。今年2017年には「蜂蜜と遠雷」で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞のW受賞を遂げる等現在も高い評価を受けている。私も高校時代に図書館で恩田陸の作品に出会い、瞬く間に魅了されてしまった。恩田陸の他に類を見ない素晴らしい表現力、独特な世界観に。ここで紹介させて頂く「私の家では何も起こらない」も彼女の抜群の表現力があますところなく発揮されており、比較的薄い本ながらも大変濃密で素晴らしいひとときを過ごせる一冊だと保証したい。幽霊屋敷に刻まれた不穏、血の香りに魅了される人々。この物語は、幽霊屋敷の主人であり、作家である「私」と謎の人物「彼」との会話シーンから始まる。終始深刻な...この感想を読む
4.04.0
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