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ジャン・バルジャン
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「レ・ミゼラブル」は、フランス革命下のパリを舞台に、ビクトル・ユーゴーが1862年に執筆した大河小説である。 主人公のジャン・パルジャンは、バン一切れを盗んだ罪で牢獄に送られてしまう。獄中での過酷な肉体労働を重ねた末、脱獄する。その後、慈悲深い司教の親切にふれて回心し、やがて実業家として成功する。しかし、彼の工場で働いていたフォンテーヌという不幸な女性を救うことに失敗し、彼女を死なせてしまったことに自責の念を感じた彼は、その幼い娘コゼットを、その預け先であった邪悪なテナルディエ一家から引き取り、隠れ家でひっそりと生活をするようになり、コゼットを教養ある美しい娘へと育て上げる。一方、法律が全てだというジャベール警部は、ジャン・パルジャンを執拗につけ回すが、やがてジャン・パルジャンの正義感にあふれた生き方に対して、杓子定規な自分の今までの生き方を反省した彼は、自殺してしまう。 有名なミュージカルの原作であり、映画化もされた世界的な名作である。
悲劇の囚人 ジャンバルジャン。主人公であるジャンバルジャンは愛する家族のために食料を盗み、囚人となりました。追われる日常。仮釈放のはずが、そのまま逃亡するジャンバルジャン。彼は名前を偽り村長になりますが、式典で囚人時代に出会っていた警察官と再会し、また逃亡生活を送ることになります。愛する人に囲まれて。物語の最後はジャンバルジャンの最期で静かに幕を閉じます。彼は愛する娘、息子にかこまれて最後を迎えました。そして大きな天使らしきものが彼の魂を天へ運んでいきました。私が初めてこの本を読んだのは小学生6年生の時でした。当時はまぁ読みにくい印象が強く、キャラクター名が当てはまらず何度も登場人物紹介のページまで戻りました。さて、この本の題名である「レ・ミゼラブル」レはフランス語の「les」男性代名詞、女性代名詞の複数系にあたります。ミゼラブルは哀れな、という意味です。二つ合わせて「哀れな人々」というとこ...この感想を読む
イエス・キリストを書こうとした?キリスト教文化圏では、当然、キリスト教(聖書)の影響が強い。その中で、映画のタイタニック(キャメロン監督)とか、ドストエフスキーの白痴や、ファイナルファンタジー10の主人公などは、イエス・キリストのことをモチーフにして造られた作品のように感じられる。イエスは人類の罪を背負い十字架にかかったが、このレ・ミゼラブルの主人公ジャン・ヴァルジャンも罪を背負い、衰弱するように死んでいったものの、イエスそのもののように、十字架にかかることを象徴するように死んでいった。僕はレ・ミゼラブルを読んで、作者はイエス・キリストを書こうとしたんだろうなと強く感じた。赦すということ。赦すということは、よく大事だというが、そうそう人を赦せるだろうか。ジャベールに追いかけられたが、空砲をもってジャベールを赦すこと。そんなことが普通の人間にはできるだろうか。しかし、最初に読んだ時は、僕...この感想を読む
レ・ミゼラブル。これは直訳すれば悲惨といったことを意味するように、内容はかなり波乱万丈で悲しく不幸な物語が中心となります。おそらく読んだことがある人は、子供向けに短く仕立てたものが多いのではないかと思われますが、原著はもっと長く、主要ストーリーは同じにしても、ジャンだけでなく、彼にまつわる人々と周辺や世の中の政治問題など幅広く波乱万丈の一大物語ともなっています。正直ほとんどがこれでもかとばかりに不運で悲しい物語なのですが、これがただの哀れな物語でないのは人間性には絶望していないことです。キリスト教的な愛が基本にはあるものの、それは誰もが理解可能な人間に対する愛です。だからこそ結末に向かって悪も欲望も収束していく中で大きな愛に迎えられる気がします。誰もが知る名作ですが、全部通して読んでみるのもまた違った発見があります。
ジャン・バルジャン
パン1つ盗んだ罪で 法の奴隷として19年間も刑務所で地獄のような生活を送っていたが、仮釈放されて遂に自由の身になり語られた。