シンデレラストーリーの中にある真実の愛 - プリティ・ウーマンの感想

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シンデレラストーリーの中にある真実の愛

4.84.8
映像
4.8
脚本
4.8
キャスト
4.8
音楽
4.8
演出
4.8

目次

シンデレラストーリーが成立した理由

ジュリアン・ロバーツの出世作となった作品、若くて可愛らしいジュリアン・ロバーツが娼婦役を堂々と演じています。王道を行くシンデレラストーリーの鉄板と言えますね。

しかし、現代においては王子様が、いつか目の前に表れて幸せにしてくれるという物語は古いし、王子様が表れたからといっても、誰かに幸せにしてもらうのでは物語的に盛り上がりません。そんな面を「プリティ・ウーマン」は、リアルな現実を感じさせずに作り上げる事で、成功した作品だと思います。その要因は、舞台として設定してある、ホテルのスウィートルームです。日常とはかけ離れた空間の中で、ストーリーを展開させていくので、生活感がにじみ出ません。もしも、リアルな日常をこの中で描き、エドワードの洗濯物や食事、部屋の片づけなどが、映画の中に入ってしまったら、全体的なイメージが崩れるかも知れません。高級ホテルというだけでも、限られた人しか入れない、セレブな場所、ここで起きた物語は、シンデレラストーリーとしてうってつけなのです。

売春婦というポジション

ヴィヴィアンの職業は売春婦。売春婦の描き方は、どういった環境で売春婦になったという前提で全く違ってきます。本当に仕方なく売春婦となったのか、簡単にお金が入るから売春婦になったのか、男に売られて売春婦になったのか?売春婦にも様々なポジションがありますが、ヴィヴィアンのポジションは、少し微妙ですね。学生がどういった経緯で、売春婦まで落ちて行ったのかで、本人のモチベーションが全く違ってくると思いますが、「プリティ・ウーマン」では触れないように書いているような気がします。

ヴィヴィアンの明るさから見て、気軽に始めた感じを受けます。それは、作品の台詞でも、自分たちで客をとる方が気楽だからとあるように、お金に切羽詰って始めた売春婦ではないと…、だとしたら、このシンデレラストーリーは、ちょっと調子が良い話とも取れるかも知れませんね。

歌と歯切れの良いカット

映画の主題歌として「オー・プリティ・ウーマン」というとってもノリのよい歌が、入っています。その歌のリズムにのって、ヴィヴィアンが、次々と着替えをしてく場面は、一番の見せ場ですね。娼婦だった彼女の洋服が、セレブで上品な洋服へと変わり、ヴィヴィアンの持つ本来の美しさを感じさせてくれます。これほどまでに、歌のリズムにあう映画はないので、ぜひともこの部分は、じっくりと鑑賞してください。ただ「プリティ・ウーマン」で、美しいプロポーションを見せたジュリアン・ロバーツですが、この映画の中では、ボディダブルが多く使われているようです。見事なボデイラインだと思っていたジュリア・ロバーツですが、実はボディダブルだったのだそうです。

ここは外せないポイント!

ヴィヴィアンとエドワードとの恋愛が見所の作品ですが、この中で見逃せないのがコメディタッチに描かれているシーン。初めての高級レストランで戸惑うヴィヴィアンは、見ていてもハラハラしてしまいますが、エスカルゴを食べる場面は、最高ですね。飛んだエスカルゴが、店の人が見事にキャッチし、良く飛びますと、冷静に言うシーンは名場面に間違いありません。

ヴィヴィアンの美しさを最大に見せているのが、オペラのシーンです。胸の開いた赤いドレスを身にまとい、高価なネックレスをつけると、彼女の美しさがグッと引き立ちます。シンプルなドレスに、高価なネックレスが、これほど上品で美しいものとは知りませんでした。ゴテゴテと着飾るよりも、こういったファッションの方が、ずっと素敵ですね。

「プリティ・ウーマン」で使用されているヴィヴィアンの衣装は、本当にセンスが良くて素敵な洋服ばかりです。

人を見下す人達が失うもの

人を見下したことがありますか?人間誰もが、成長して、良くなりたいという気持ちがあります。これは、当然のことだと思うのですが、その比べる対象は、結局は人なのです。

ですから、この「プリティ・ウーマン」の中でも、金持ちや成功した人間、失敗し駄目な人間の2種類の人間を登場させ比較しています。ここで、面白いのが失敗した駄目な人間よりも、成功した人間の方が、より彼らを意識して生きているという事です。要するに、上にたった人間は、下の人を差別し見下すのです。この事が、ヴィヴィアンとエドワードが喧嘩になった原因でもありますが、上の人間は下の人間を差別し、優越感にひたるのはないでしょうか?

映画の中では、成功者を良い人間、幸せな人間として描いてはいません。成功しても寂しくなったり、お金があっても欲を満たせなくなっていく、そんな成功者達を描いています。人間が幸せだと思い感じるものは、成功やお金に関係なく、愛情だということ。それは、誰にでも手にする権利があるということです。人を見下し愛情を受けるだけの人には、手に入らないものなのかも知れません。

あんなに可愛い娼婦がいるのか?

最後に、娼婦ってあんなに可愛らしいものなのでしょうか?ヴィヴィアンの演じる娼婦が、あまりにも可愛くてきれいすぎて、娼婦に対する認識を変えてしまいそうです。あっけらからんと、悪気もなく自分の体を売ってしまうのは、いかがなものなのかな?とも思ってしまいます。

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