誰も知らないのあらすじ・作品解説
誰も知らないは、2004年に公開された映画で、主演の柳楽優弥は、史上最年少の14歳で2004年度カンヌ国際映画祭主演男優賞を獲得している。是枝裕和監督が、1988年に実際に起きた、父親が違う4人の子供たちを母親が置き去りにするという事件を元に、15年の構想末、映画化した作品である。母親役のYOUは、これが初の映画への本格的出演となる。 YOU扮する母親けい子と柳楽優弥扮する息子明が、アパートに引っ越してくるところから始まる。周りには母子二人暮らしだと言っていたが、実際には明の他に京子、茂、ゆきという3人の子供がいた。子供たちの父親はみな違っていて、学校に通ったこともなく、母親が働き、明が母親がわりに家事をして過ごしていた。そんな生活の中、新しく恋人のできた母親が次第に不在がちになり、20万円の現金と明あてのメモを残して姿を消してしまう。そして誰にも知られることのない子供たちだけの生活が始まる。
誰も知らないの評価
誰も知らないの感想
誰もが知っていてほしい作品
家族の中初めてこの映画を観た時、柳楽くんの自然な演技に驚きました。演技と呼ぶんだろうかと思うほど、彼は映画の中に入り込んでいました。そして長男という役割をきちんとこなすのです。母親からの信頼は絶大で、彼ではなくもし長女が一番上だったら、こうも親子関係が良好だったか定かではありません。彼は母親のことも弟妹のことが大好きで、家族で囲む食卓を愛していました。決してあれが欲しいこれが欲しいとわがままを言ったり、周囲を困らせることはしません。それはなぜか、外の世界を知らないからです。友達がもしいたら、みんなが流行のものを持っていれば欲しいと思いますし、たまたまキャッチボールさせてもらって触れた野球というスポーツに興味が湧きます。そういった外からの刺激を何も受けずに成長しているから、彼は無欲なんだと思いました。私たちは日々色んなことから情報を得て、外へ出て刺激に触れ、普通に暮らしています。しかし、...この感想を読む
子供たちのキラキラした姿が印象的
実際起こった事件を題材に作られた映画。実際の映画とは少しだけ内容が違うようですが…恋多き母は自由奔放、4人の子供は全て父親が違うというところから彼女の恋愛に対する奔放さもよく分かる。最初は普通に生活していたけれど母には好きな人ができてしまう。その日をきっかけに母はお金を長男に預け家には帰らなくなってしまった。母から時々送られてくる生活費で何とかやりくりしていくが次第にお金も底をついてしまう。子供だけの生活だから掃除や洗濯もままならない、もちろん食事も。そのうえお金もなくなってしまうという本当にどうしたらいいのだろうか?という状況に追い込まれていく。ある時、一番下の女の子が亡くなる。その遺体をスーツケースに入れ電車で運び、埋めてしまう。そのシーンの後、残った子供たちはまた笑顔で生活しているのが何とも言えず胸が苦しくなった。自由奔放な母を責めることもなく生きて行く子供たちを観てどうしていい...この感想を読む
たくさん考えさせられました。
巣鴨子供置き去り事件を元に制作された作品ということと、当時柳楽優弥さんが史上最年少および日本人として初めての最優秀主演男優賞を獲得したことなどから、とても興味深く拝見させて頂きました。是枝監督がインタビューで『母親役を演じたYOUさんには、あえてとてもチャーミングに明るく悪気が無いような演技をして欲しい』と演技以来をしたとの事ですが、映画の中のお母さんがした事は、本当にとんでもない事で、最低な事でしたが、子供達がそれでもお母さんの事が大好きで、待ち続けている・・という設定が理解できるような気がしました。こんな悲しい事件は、絶対起こって欲しくない。そして、子供をもつ方は、大人とて、親としての責任を持ち、産まれてきた命を大切にして欲しい。そう改めて思いました。