やはり万人に薦められる巨匠の名作。
私は一度こころを学生の時読みましたが、最近になり本屋でも目立つように積まれていたので思い出し、巨匠、晩年の名作と呼ばれるこの本を再び開くことを思いつきました。 するとこれはどうにも色々な方向から読むことのできる小説でした。もちろん当時の私はきづくはずもなかったのですが。読む人で捉え方が変わる、といわれる小説は多々ありますが、ここまで物語が私によって変わっているとは思いませんでした。 そして今回この本を読了するにあたって私に課された問は「人間性」についてでした。 「平生はみんな善人であり、それがいざというまぎわに、急に悪人に変わる」作中、先生の台詞です。これが全てを物語っているように感じました。 親戚に欺かれた先生は自分こそは立派な人であると思っていたが、ある時自分も裏切られてきた人達と変わらないと言う事を悟り、絶望し、自分不信に陥りそして、自殺してしまう。 この先生の苦悩こそ今になっても変わらぬ人間性が孕むエゴイズム、不安定極まりない「こころ」によってもたらされたものであるのだと私は思う。
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