やはり万人に薦められる巨匠の名作。 - こころの感想

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こころ

4.644.64
文章力
4.50
ストーリー
4.30
キャラクター
4.40
設定
4.45
演出
4.35
感想数
14
読んだ人
48

やはり万人に薦められる巨匠の名作。

5.05.0
文章力
5.0
ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.5

私は一度こころを学生の時読みましたが、最近になり本屋でも目立つように積まれていたので思い出し、巨匠、晩年の名作と呼ばれるこの本を再び開くことを思いつきました。 するとこれはどうにも色々な方向から読むことのできる小説でした。もちろん当時の私はきづくはずもなかったのですが。読む人で捉え方が変わる、といわれる小説は多々ありますが、ここまで物語が私によって変わっているとは思いませんでした。 そして今回この本を読了するにあたって私に課された問は「人間性」についてでした。 「平生はみんな善人であり、それがいざというまぎわに、急に悪人に変わる」作中、先生の台詞です。これが全てを物語っているように感じました。 親戚に欺かれた先生は自分こそは立派な人であると思っていたが、ある時自分も裏切られてきた人達と変わらないと言う事を悟り、絶望し、自分不信に陥りそして、自殺してしまう。 この先生の苦悩こそ今になっても変わらぬ人間性が孕むエゴイズム、不安定極まりない「こころ」によってもたらされたものであるのだと私は思う。

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なにもかも手紙に書いているようで、そこにひそむ先生の暗い欲望

高校の教科書で読んだ思い出高校を卒業してから十年以上経って、夏目漱石の小説を読むようになり、その一冊をどこかで読んだ覚えがあるなと思いだしたのが、高校のころ教科書で目にした、この「こころ」。著者が夏目漱石ということも題名も忘れていたけど、内容はやけに鮮明に覚えていた。それにしても改めて全体を読んで、教科書に載っていたのが、極々一部で、しかもかなり後半だったことに驚かされたもので、でも、妙に納得もした。当時は、一体どういう話なんだと、今一内容を掴みかねたものだから。教科書には一応それまでの、あらすじも書いてあったけど、そもそも主人公と、謎の多い先生との出会い、そのつきあいがあっての、手紙の内容なのだから、そりゃあ、なんの話だともなる。 たしか、Kが下宿先のお嬢さんに気があるような様子が見られはじめてから、自殺するに至るまでの内容だったと思う。そのとき課題で、Kの自殺した理由を考えるものがあっ...この感想を読む

3.53.5
  • イヌダイヌダ
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  • 3496文字
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こころの考察

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5.05.0
  • くらうどくらうど
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  • 2070文字

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