彼岸過迄のあらすじ・作品解説
彼岸過迄は、夏目漱石の長編小説である。1912年1月1日から4月29日まで「朝日新聞」に連載されていた。 この作品では、短編小説を連ねて一編の長編を構成する試みななされており、「風呂の後」「停車所」「報告」「雨の降る日」「須永の話」「松本の話」からなっている。 誠実ではあるが行動力がない内向的性格の須永と純粋な感情を持ち恐れること無く積極的に行動をする従姉の千代子。須永は彼女を愛していながらも恐れていた、そんな須永に対して千代子はいらだち、嘲笑しつつも心の底では須永に惹かれていた…。 夏目漱石は、1867年2月9日生まれであり帝国大学英文科卒業。卒業後は高等師範学校の英語教師となり1895年に辞職。1900年に文部省より英語研究のために英国留学を命じられ留学し、帰国後講大学講師として活躍するが生徒の自殺により神経衰弱となってしまい、紛らわすために小説を執筆し、1905年に「吾輩は猫である」でデビューした。
彼岸過迄の評価
彼岸過迄の感想
生死を彷徨った後の作品
漱石が修善寺で大量吐血し、回復して書かれた作品です。タイトルは「彼岸過ぎ迄書いてみよう」くらいの割と適当な理由でつけたそうですが、内容は「行人」や「こゝろ」に繋がっていくようなストーリー、構成になっていて、漱石の作品の中でも重要な位置を占めていると思います。短編数本をくっつけたような形になっているので、職業を得るために運動している敬太郎、その友人の須永、その親戚の松本の3人の話で成り立っています。漱石の作品にいつも出てくる人を食ったような感じの人も出てきますし、前期と後期の作風がうまく混ざっています。それにしても最初に出て来た敬太郎の知人の森本はどうなったんだろうなと読み終わった後いつも考えてしまいます。