破獄のあらすじ・作品解説
破獄は、綿密かつ徹底した史実調査から成る記録文学で知られる吉村昭が、元刑務官からの取材を基に「昭和の脱獄王」と呼ばれた実在した人物をモデルとして描いた長編犯罪小説である。 準強盗致死罪により刑に服していた佐久間清太郎は、昭和11年最初に収監された青森刑務所の独居房より脱獄、昭和17年次に収監された秋田刑務所脱獄、昭和19年多くの犯罪者から恐れられていた網走刑務所を脱獄、昭和22年厳重に監視された札幌刑務所も脱獄と、実に4度もの脱獄を果たす。脱獄するごとに厳しくなっていく警備を常人離れした身体能力と驚くべき知恵を発揮し、大胆かつ周到な計画を実行。脱獄、逃亡、収監を繰り返す佐久間とその脱獄を阻止しようとする看守との息詰まる攻防と駆け引きが、吉村昭独特の淡々とした語り口で描かれている。また戦前、戦後の時代背景も克明に描写されており、当時の刑務所を巡る過酷な状況を描いた歴史小説の側面も持つ。 1984年、第36回読売文学賞受賞。1985年、緒形拳主演でNHKによりTVドラマ化されている。
破獄の評価
破獄の感想
脱獄王
書店でプッシュされていたので、人気だったので、手に取ってみた。ボクはタイトルだけ見て、裏は見ないで時々買います。今回も裏は見ないで買いました。タイトルだけを見て「脱獄の話だろうなー」って思っていました。が、しかし!!!!と驚くことはならず、実際も脱獄のお話でした。しかし、本物の人物をもとに書かれていたことには驚いた。しかも、4回も脱獄していた人物がいたなんて...読んでいて、映画「板尾創路の脱獄王」を思い出した。それにしても、戦時中のひどい監獄の状態には吐き気がした。んで、なぜか監獄の環境にイラっとした。そのへんは面白いなーっと思ってました。しかし!!!国家事情やその他興味のない話(ボクにとって)が多すぎた。読むことに疲れて、何度あきらめかけたことか。でも、脱獄の描写は面白いです。
牢獄破りの手口に脱帽!
実在の人物をもとに、何度も脱獄を謀る佐久間囚人と彼を監視する看守達との攻防を描いた作品。なんといっても主人公佐久間の脱獄方法が凄い。ここでは秘密ですが、例えばどうやって鉄格子を破ったのか、どうやって何もない壁を伝って天井まで登ったのか、読んで思わずのけぞること間違いなし!吉村昭の作品は好きでよく読みますがこれは特に好きな作品です。囚人と看守の微妙な駆け引き、監獄生活の過酷さと、囚人への人を人とも思わぬ扱い、そして寒冷地方の監獄の冬の厳しさ。臨場感溢れる描写に、自分がその場にいるような錯覚さえおこしそうです。佐久間囚人は脱獄人生の中でどのようになっていくのでしょうか?果たして心休まる時が来るのでしょうか?それは読んでのお楽しみ♪ 一気読み間違いなしのお薦めです。