凍える牙の評価
凍える牙の感想
ヒロイン・ヒーローではなく人間(動物も)が躍動するミステリー
白バイ隊出身の女性刑事とたたき上げのおっさん刑事がコンビを組んで、人体発火事件と犬による咬殺事件を解決していく推理小説です。化学薬品を使った発火はともかく、狼犬を訓練して人を殺させるという設定が突飛なので、好き嫌いは分かれるかなと思いますが、安定した文章力で読みやすいと思います。特に、主役2人が常にカッコよく描かれているわけではなく、プライベートでの情けない姿が描かれたり、悩んだり、反発しあったり、1人の普通の人間として描かれているところが私は好きです。犯行動機も、いい意味でも、悪い意味でも人間味があって、人間の業のようなものを感じさせますが、読後感は悪くないです。また、狼犬をバイクで追跡するシーンで、犬と人の心が自然に交流していく様がとても美しく描かれていて、印象的でした。ミステリーファンはもちろん、バイクや犬が好きな人なら、読んで損はないと思います。