ひらいての評価
ひらいての感想
開けゴマ!なんて呪文があればいいけど、
綿矢先生嫌いが尊敬に変わりました。女子高生がクラスの比較的地味な男子に恋をする、という設定で、なんだありきたりだな、と半ば読み始めた意地だけで読みました。今、先生に向かって土下座したいほどです。申し訳ありませんでした。舐めてかかってはいけない、甘酸っぱい恋愛小説なんかではありません。大人よりヘビーで、多感な時期だからこその強烈さがギュッと170ページほどに詰まっている作品です。私はこの作品を何気なく手にしたことを運命と呼びます。世間でどうしてこうも綿矢りさという作家が人気なのか理解できませんでしたが、言葉を、文章をここまで巧みに、解けないほどこんがらがっていると見せかけて、実はこことここを引っ張ればするりと解けますよ、と簡単に1本の紐に仕立て上げる作家さんなんだと、この作品を読んで深く納得しました。私はもう綿矢先生に夢中です。愛しているとさえ、思います。不毛。恋人のいる人を好きになった主人...この感想を読む
恋
タイトルだけではわからなかった、「恋」が描かれていました。タイトルだけで内容が想像できる作品が他にあるわけではないですが、この作品はいい意味で想像を裏切られたというか、読んだ後は満足でした。内容は、ある女子高生の恋の物語。普通に生活して、友達と時間を過ごしていたこの女子高生が恋によって変になっていきます。この変になっていくところが面白く、また衝撃的でもあります。最後は、ある意味では「ハッピーエンド」と受け止められるし、逆に「バットエンド」とも取れます。受け取り方によって、読者によって、内容が変わるこのような作品は珍しいと思います。おすすめの作品です。
疾走感のある、暴走する恋心が面白い
華やかで高慢な女子高生、愛が、たとえ、という妙な名前の地味な同級生男子に恋をした。けれど、彼には、中学校の頃から付き合っている、美雪という彼女がいて…というお話。主人公の愛が、たとえの関心を引くためにする、暴走した行動が突き抜けていて、そこが痛々しいのだが、次は何をするのかと冷や冷やしながら読み進めてしまう。主人公の心がどんどん崩壊して行って、それにたとえも美雪も巻き込まれ…というのが面白かったです。ラストの方で、なぜ、主人公は、「ひらいて」と言ったのかが、解らなくて、最後の方をもう一度読んだけど、やはり解りませんでした。それが残念。疾走感のある文章で、読みやすく、少々エッチな場面はあったけど、面白かったです。