四畳半神話大系の感想一覧
森見 登美彦による小説「四畳半神話大系」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
四畳半神話大系の世界感!
この小説は読み始めてまず思ったのが読みやすい!テンポ良く話が進んでいて、気が付くと森見さんのワールドにどっぷりやられました。引き込まれるような独自の表現・擬音表現「桃色~」や「ぽぅん」等もその魅力の一つ。何せキャラクター達は超が付くほど各々個性に満ち満ちているんです。主人公の「私」は大学生。あぁ、学園ものなのね。ぐらいに捉えているとえらいギャップといいますか、あまりにもハチャメチャでインパクトを静かに受けます!物静かで陰鬱そうな「私」であり、「黒髪の乙女」に恋する不毛な学生であり、「ゴキブリキューブ」を扱う。あんなエキサイティング尚且つクレイジー、謎のポテンシャルをもつ大学生、他になかなか見ません(笑)そして、この作品は同著者の『夜は短し歩けよ乙女』にもチラリチラリ登場人物が出ています。歯科にお勤めの「羽貫さん」とかね、こちらも四畳半神話大系と同じく作品の舞台は京都とあり、実在する鴨川デ...この感想を読む
各章を比べられる楽しみ。
森見さんの独特の文体と不思議な世界を堪能できるのは他の作品と同様ですが、構成が面白かったです。森見ワールドでよく見る冴えない大学生の男の子と、その友人と憧れの女の子。もちろん美少女。大学のサークルで4つのどれにしようかと迷うところから物語はスタートします。1章を読んで、森見ワールド堪能したけど続きってどうなるの?と思って2章を読むと・・・楽しいです!私は、この本を予備知識なしに読んだのですがそれが正解だった!と思うのであまり触れない方がいいと思うのですがこれだけは。各章を比べる楽しみがあります。最後までたどりつくとスッキリします。
たのしい京都
この独特の小難しい文章が、次第に癖になること請け合いです。話の展開も、章を追うごとに吹き出すことになりました。これは詳しく説明される前に読んだ方が確実に楽しいのでここでは書かないほうがいいかも。うまくできてんなぁ…という感想を持ちました。冴えない男子大学生、その友人のどうしようもない男、そして美少女。真実は一体どこに。そして個人的には、修学旅行でベタなスポットしか行かなかった京都という街でしたが、本作を読むことで実際に歩き回って地元にしてしまったような錯覚を覚えました。いやほんとに行ったら着実に迷子になりますけど。恋愛小説なのかSFなのか、モラトリアム小説なのか、未だにわからないままです。全部…?
パラレルワールド!
文体が独特で癖になる。一気に読んでこそ、意味がある作品だとおもう。夜は短し歩けよ乙女など、森見登美彦のほかの作品と同じように、京都の大学生が主人公だ。主人公は薔薇色のキャンパスライフを送りたい。そのためにはサークルに入らなければいけないと思い、4つのサークルのうち、どれに入るべきかと迷う。一章目だけを読むと、ただの小説。二章目を読むと、この作品のカラクリに気づくはずだ。何回も同じような文章が出てくるからといって読み飛ばさずに読んで欲しい。ラストが秀逸。すべてのカラクリを理解することができる。読まず嫌いせず、まずは読んでもらいたい。