パンドラの匣のあらすじ・作品解説
パンドラの匣は、太宰治の作品で二十歳の青年の恋心と純情をユーモラスに描いた青春小説である。1946年6月5日河北新報社より刊行され、1947年6月25日に双英書房から改訂版が刊行された。 「健康道場」という結核療養所がある。 太平洋戦争中に身体の弱さから自分が必要な人間ではないと悩んでいた少年の利助は、結核を患っていた。彼は山奥にある一風変わった結核療養所「健康道場」へ入所した。健康道場での日々の中で、利助は「ひばり」と名付けられた。そんなある日、新しく勤務することになった看護婦長「竹さん」の事が気になり始め…。 この作品は、1947年7月に映画公開されたが太宰の意向により「看護婦の日記」と題名が変更された。監督:吉村廉、脚本:八木沢武孝、出演:関千恵子、折原啓子など。また、2009年10月10日にも映画化されており、監督・脚本・編集を冨永昌敬が担当し、看護婦の「竹さん」を川上未映子が演じ、数々の新人女優賞を受賞した作品である。
パンドラの匣の評価
パンドラの匣の感想
恋愛小説
私は中学生の時にこの小説をはじめ太宰治の作品に触れました。その時に一番心に残ったのがこの小説です。太宰治と言えばヴィヨンの妻や人間失格、斜陽などをあげる人が多いと思います。私も中学生のときはそう思っていてこのパンドラの匣を開きました。そしてびっくりこれは紛れも無く爽やかな青春小説で、それまでの太宰のイメージが払拭されました。明るく軽やかなテンポで背景も明るい色彩で描かれていてつい夢中になって授業中にこっそりと読んでいたものです。主人公は鋭敏な感性を抱く思春期の青年でその時期特有の微妙な心持を見事に美しく書き上げられていました。ぜひ同じように多感な時期を迎えている学生達に読んでほしい太宰小説の筆頭です、もちろんこの他の作品もそうなのですが、一番最初に読んでほしい。という意味で。重厚なイメージで手を出しにくかった学生達に太宰治の小説にはこんな明るさ、軽さがあるものもあるのか!と思ってほしい...この感想を読む