アンの青春のあらすじ・作品解説
カナダの世界的ベストセラー作家であるL・M・モンゴメリーの「赤毛のアン」の続編で、1909年に刊行。この作品では、主人公アン・シャーリーの16歳から18歳までの2年間を描いている。 アヴォンリー小学校の新任教師となった16歳のアンは、マリラが引取った双子の世話や村の改善協会の運営に多忙を極めつつ、ミス・ラヴェンダーや作家のモーガン夫人などの出会いを通し、充実した日々を送りながらさらに成長していくストーリーである。 この「アンの青春」には傷ついた人物が多数登場するポールやアンソニー、双子のデイビィやドーラの4人の子供達は、親と死別もしくは離別している。そして、大人達もそれぞれ痛みを抱えている。孤独なハリソン氏、過去を後悔し続けるミス・ラヴェンダー、悲しみを仕事で紛らわすアーヴィング氏、未亡人になったリンド夫人、牧師館のアラン夫人は3ヶ月の子供を亡くした。しかし皆、アンに触れ合うことで人生が変貌する。このアンのシリーズは、老若男女が生老病死に苦しみながらも、希望を失わない人間ドラマである。
アンの青春の評価
アンの青春の感想
現在にも通じる教えがたくさん入っています。
夫婦のあり方を教えてくれたハリソンとエミリー。アンの青春の中でなぜか一番心を惹かれてしまうグリンゲイブルスのお隣に越してきた散らかった部屋に住む無礼で口悪いハリソンさん。初めはなんてアンシリーズに相応しくない登場人物だなんて思ってしまったけれど読み進めていくうちに、セリフ一つ一つに綺麗ごとじゃない、真っすぐな愛情深い優しさがあって、いてくれたらなんて有り難いお隣さんだろうと最後には思ってしまいました。大切にしていたオウムのジンジャーが雷に打たれて死んでしまったと同時にどうしてもそのオウムを飼うことは許せなかった前の奥さんエミリーが戻ってきてた。このエピソードにはとても深い意味がある気がしました。つまり誰かを大切にして一緒に暮らしていくには、自分が大切にしているものでも時として手放さなくてはならないということです。エミリーがもう少し心広ければとも思いますが、それは好きになったほうが負けと...この感想を読む
小学校での教師時代
赤毛のアン・シリーズ二冊目。アンは16歳。アヴォンリー小学校で新しい先生として過ごす二年間の物語。いろんな生徒たちとの出会いや、村の「改善会」での出来事、新しい隣人やミス・ラヴェンダーとの出会いなどなど。相変わらず、ユーモアにあふれているなぁと思う。ポールがとてもかわいらしくて、詩的で、すてきな子どもだなぁと心から。そんな“同類”がいたらどんなにいいだろうと思う。ミス・ラヴェンダーのような年の取り方ができたら、独身を貫くのもいいことだろうなぁ。でも結婚をすることになって、それはそれで本当に良かったな、と。アン自身の恋のお話はもうちょっと先の模様。
大人の階段を昇り始める魅力的な少女の物語
1作目で学校を卒業し、教師となる道を選んだ17歳(性格には16歳半)から2年のアンの物語です。教師として悩みつつも、子どもたちと確かな絆を結んでいく一方で、マリラの遠い親戚である幼い双子を育てたり、同年代の友人たちと『アボンリー改善協会』を結成して村のために活動したり、中年と言われる年になってもアンに負けず夢見る心を忘れないミス・ラベンダーと交流したりと、ますます積極的に毎日を生きていくアンの姿は、とても魅力的です。さらに、アンが少し成長することで、この作品ではロマンス要素が加わります。ミス・ラベンダーの物語のような再会の恋、親友ダイアナの身近で現実的な恋という対照的な、でも、アンにとっては等しく劇的な恋に触れ、彼女自身も、よき親友であるギルバートに対するほのかな恋心をかすかに感じ取ります。相変わらず、ドキドキハラハラの日常生活の中に、甘い恋がするりと自然に滑り込んでくる物語構成は、す...この感想を読む