アンの青春の感想一覧
ルーシー・モード・モンゴメリによる小説「アンの青春」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
現在にも通じる教えがたくさん入っています。
夫婦のあり方を教えてくれたハリソンとエミリー。アンの青春の中でなぜか一番心を惹かれてしまうグリンゲイブルスのお隣に越してきた散らかった部屋に住む無礼で口悪いハリソンさん。初めはなんてアンシリーズに相応しくない登場人物だなんて思ってしまったけれど読み進めていくうちに、セリフ一つ一つに綺麗ごとじゃない、真っすぐな愛情深い優しさがあって、いてくれたらなんて有り難いお隣さんだろうと最後には思ってしまいました。大切にしていたオウムのジンジャーが雷に打たれて死んでしまったと同時にどうしてもそのオウムを飼うことは許せなかった前の奥さんエミリーが戻ってきてた。このエピソードにはとても深い意味がある気がしました。つまり誰かを大切にして一緒に暮らしていくには、自分が大切にしているものでも時として手放さなくてはならないということです。エミリーがもう少し心広ければとも思いますが、それは好きになったほうが負けと...この感想を読む
小学校での教師時代
赤毛のアン・シリーズ二冊目。アンは16歳。アヴォンリー小学校で新しい先生として過ごす二年間の物語。いろんな生徒たちとの出会いや、村の「改善会」での出来事、新しい隣人やミス・ラヴェンダーとの出会いなどなど。相変わらず、ユーモアにあふれているなぁと思う。ポールがとてもかわいらしくて、詩的で、すてきな子どもだなぁと心から。そんな“同類”がいたらどんなにいいだろうと思う。ミス・ラヴェンダーのような年の取り方ができたら、独身を貫くのもいいことだろうなぁ。でも結婚をすることになって、それはそれで本当に良かったな、と。アン自身の恋のお話はもうちょっと先の模様。
大人の階段を昇り始める魅力的な少女の物語
1作目で学校を卒業し、教師となる道を選んだ17歳(性格には16歳半)から2年のアンの物語です。教師として悩みつつも、子どもたちと確かな絆を結んでいく一方で、マリラの遠い親戚である幼い双子を育てたり、同年代の友人たちと『アボンリー改善協会』を結成して村のために活動したり、中年と言われる年になってもアンに負けず夢見る心を忘れないミス・ラベンダーと交流したりと、ますます積極的に毎日を生きていくアンの姿は、とても魅力的です。さらに、アンが少し成長することで、この作品ではロマンス要素が加わります。ミス・ラベンダーの物語のような再会の恋、親友ダイアナの身近で現実的な恋という対照的な、でも、アンにとっては等しく劇的な恋に触れ、彼女自身も、よき親友であるギルバートに対するほのかな恋心をかすかに感じ取ります。相変わらず、ドキドキハラハラの日常生活の中に、甘い恋がするりと自然に滑り込んでくる物語構成は、す...この感想を読む
少し大人になったアンに出会える
学校を卒業して先生になったアンに再び出会える作品。運命の相手であるギルバートとの関係もぎこちないながら好転していく様子が楽しめる。マリラが新しく引き取った双子の世話に手を焼きながらも血の繋がらない「家族」がなんとも自然に形作られていく。16歳という設定のアン、きちんと責任を持って先生として働きながらも村の若者の一員として積極的に地域にも関わっていく様子が面白い。このお話のころの時代の16歳って、現代の16歳と比べると(もちろん自分の16歳のころも含めて)ずいぶんとしっかりしていたのだなあとびっくりする。もうすっかり大人として振舞っているのだけれど、やっぱり前作同様、アンの魅力は少しも衰えていないと思う。