手ぶくろを買いにのあらすじ・作品解説
新美南吉の手による「手ぶくろを買いに」は、南吉の死後、1943年に出版された「牛をつないだ椿の木」に、収載された童話である。黒井健、いもとようこらにより絵本化され、長きにわたり読み継がれてきた作品である。 主人公は、一組のキツネの母子。物語は、ある冬の朝、初めての雪にはしゃいで外に出た子ギツネが、手が痛いと母ギツネに凍えた手を暖めてもらうシーンから始まる。子ギツネにてぶくろを与えたいが、昔仲間が鶏を盗み人間に追われた為、人間が怖くて買いに行けない母は、子ギツネの片手を人間の手に変え、お金を渡して買いに行かせるのである。子ギツネは、お店を見つけてお金を差し出すが、間違えてキツネの手を出してしまう。が、本物のお金だと確かめた店主は、子ギツネにてぶくろを売ってあげるのである。最後に母のもとに戻った子ギツネが、間違えた手を出しても大丈夫だったと報告し、母がつぶやく言葉。人間っていいものかしら。かみしめたい言葉である。
手ぶくろを買いにの評価
手ぶくろを買いにの感想
ほんのりあたたかい
きつねが手袋を買いに行く話。たったこれだけの話なのになんでこんなに人気なんだろう。日本人のこころにひびくなにかがあるんだろうなあ。教科書にのるぐらい有名で、かつ、こころがあたたまるようなお話。この作者はいつもきつねだなあってイメージ。ごんぎつねを書いたのと同じ人です。この人がなんでこんなにきつねが好きなのかが知りたい。きつねだとわかっていながらもちゃんと手袋をうってあげる人間や、間違いをしちゃったけど手袋が買えてよろこぶこぎつね、こぎつねに化かしたほうの手を出すようにいう母狐。子供の頃に読んで、ひとりでおつかいにいってみたくなったのを覚えている。
懐かしいお話
今度、子供に買って読んであげようと計画中の絵本です。子供達がどんな反応をするのか、今から楽しみです。私自身が子供の頃、母に何度も読んでもらった思い出の絵本でもあります。黒井健さんの絵がとても綺麗だし、お話の内容も優しさがいっぱいで、心があったかくなる一冊です。子供の頃、子狐が買いに行った手袋がとても温そうで、羨ましくて、同じような手袋が欲しくなり、祖母が手袋を編んでくれたのも良い思い出です。子供心に、子狐はちゃんと手袋を買いに行けるのか、と読んでもらう度にドキドキしていました。我が家の絵本棚にもうすぐ仲間入りするこの絵本は、お勧めの一冊です。
心温まる素敵なお話
読み聞かせ、本を読み始めた幼い子供、それぞれの用途にもぴったりとある素敵なお話だと思います。挿絵にひかれて買った絵本でしたが、幼いころに読んだときの感想そのままに、きちんと手袋を買うことのできた子ギツネにほっとしました。お母さんギツネが、子ギツネの片方の手(前足)だけを人間の子供の手に買えてお金を握らせてやるあたり、自分が初めてお使いに行くように微笑ましく思いました。戻ってきてお母さんに、「間違えたほうの手を出してしまったけれど、ちゃんと手袋を買うことができた。」と報告する子ギツネ、電灯の明るさに目がくらみながらも「あ、しまった。」とちゃんとわかってたんだな、とちょっと笑ってしまいました。 温かい、とてもいいお話です。