「性格悪い」とか「嫌い」っていうのは、同じぐらいの立場だからこそ、初めて使える言葉なんだよ。一方的にひがんだり、羨ましがってる方が使える言葉じゃないんだよ。
小林アン
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ー現代の誰もが抱える、見えない不安ーこの小説に出てくる人々は一様に、現代特有の「闇」を抱えているように思う。インターネットで容易に見ることの出来る残虐な画像。少年の残虐さを匂わせた行為を、目の当たりにした彼女の反応。嫌悪したはずのその行動に、次第に惹かれていく様。それらは、幼少期に培われるような、無邪気なものではないのだろう。純粋に、書店に並んだ写真集に惹かれてしまた気持ち。美しさと感じた彼女の感性は、果たして現代の彼女でなくても本当に魅力的に映ったのだろうか。現在の彼女が置かれている環境が、常に生命の危機を感じるような危険が届かない安全な環境だからこそ、惹かれるものがあったのではなかろうか。生が当たり前に確保されている状況下でこそ残虐なものに彼女は惹かれ、そこに癒やしに似たものを求めていたように感じた。ーいつも変わらない陰と陽ー誰かと仲良くしていなければ…自分が孤立しないために。この...この感想を読む
クラスに昆虫系男子と名付けられる男子、私のクラスにもいました。数日で忘れ去られてしまうようなニュースにならないような自殺計画を考える二人は少し現実離れしていて、少しリアルでした。学生の頃、きっと誰もが一度は思ったことがあることを主人公も思っていて、中学・高校時代に感じていたこと、ふと心の中にじわっと蘇りました。イケイケの女子には疎まれるような昆虫系男子だけれど、最後は殺せないって叫んでくれて本当によかった。ここで本当に実行してしまっていたら、今、学生として過ごしている人たちがこの本を読んだとき、どうにも救われない気持ちになるところだったと思います。きっと将来二人はこの計画を立てたこと、きちんと実行しようと本気で思っていたこと、忘れずに生きていくと思います。そして、二人でひっそりと計画を立てていた時間をとても大切な時間だったって認識するんだろうなと思います。大学生になっても、社会人になっ...この感想を読む
小林アン
どんな立場に立ってその言葉を言えばいいか教えてくれる一言