スロウハイツの神様のあらすじ・作品解説
2007年1月、講談社ノベルズから刊行された、この『スロウハイツの神様』は、上下2巻続きの作品である。 祖父から譲り受けた3階建ての建物のオーナーである脚本家が、面接を通して住人を選ぶ。家賃一万円という破格の条件に、クリエイティブな分野で活躍する面々が集まる。 3年前、住人の一人である人気作家のコーキの小説が元となる殺人ゲームがおこり、取材陣に詰め寄られたコーキは筆を折ってしまったのである。 それぞれが夢に向かい、お互いに刺激し合ってうまく生活していた中、新たな居住者が加わりコーキに急接近するようになる。それをきっかけにスロウハイツでの人間関係は変化し始めてしまうのである。 そんな中、スロウハイツのオーナーの手にある一通の手紙が渡る。送り主は今にも潰されてしまいそうなコーキを救った少女。これを機に、さらにハイツの生活は大きく動き始めることになったのである。 コーキの心にも変化が生まれるころ、スロウハイツのオーナーの渡米が決まり、ハイツの今後が問われることとなったのである。
スロウハイツの神様の評価
スロウハイツの神様の感想
もっと登場人物と仲良くなりたかった
長すぎるプロローグ第一章の始まる前にプロローグがあります。短いプロローグです。そして第一章が始まります。ん?んんん?何だか読んでも読んでも、物語が進んでいかないっていう感じがしたのは私だけでしょうか?登場人物の細かい紹介が延々と続いているようでなかなか本題に入っていかない気がしました。いや、これは長ーい伏線で、すでに本題に入っているのかどうか分からずに、私は活字を追っていきました。辻村深月さんは本屋大賞も受賞した人気作家さんで、ファンの方もとても多いです。私もこの『スロウハイツの神様』は友人に教えてもらいました。何冊か、いや10冊以上は辻村さんの本を読んでいますが、ちょっとこの本はダメかもしれないなーと挫折しようと思ったのは初めてのことでした。すすめられた本って合わない場合もあるよなあとため息をつきました。それくらい、この本の冒頭部分には私を惹きつけるものがありませんでした。登場人物が全...この感想を読む
クリエイターたちの話
いわゆる現代版トキワ荘ということで、藤子・F・不二雄先生ファンの辻村深月さんらしいなぁ、という設定。のび太くんのあの名言も出てきたし。そういうものを差し置いても、辻村深月さんの作品は本当に安定して面白いなと再認識。特に今回は、何か創作に関わる人ならより楽しめる話なのではないかと思う。小説家・脚本家・漫画家・イラストレーター・映画監督・雑誌編集者。よくこんな顔触れを揃えたなー、とそれだけでわくわく。そして環の性格がとても良い。実際に対面したらつらいかもだけど、ここまで言うことを言う女性ってなかなかいないのでは。なにやら不穏なラストだったので、下巻への引きもマル。