私を知らないでの評価
私を知らないでの感想
「私を知らないで」の真意とは
設定はラノベチックだが文章力がある孤高の美少女と冷めて大人びた少年と一見何も考えてないように見える少年というラノベにありそうな設定。あらすじを読むといじめに関する話かな?と思うが、いじめはほとんど関係なく物語は子供たちの内面にかかわっていく。ストーリーは突拍子もない部分もあるし、登場人物が本当に中学生か?と思えるような考え方をしていたりもするが、そうならざるをえない状況にあるということを説得力のある文章で書かれている。キヨコの「私を知らないで」の意味は真意としては真逆だと思う。「知らないで」じゃなくて「知ってほしい」でも今の自分は知られたくない。最初はいじめにも屈しない他人のことなんて干渉しないしされない芯の強い子のように書かれているが、だんだんと本当は普通になりたいただの女の子といった印象が強くなってくる。お金や物に対する価値観は中学生離れした部分があるが、卒業式では本当は1日しか着な...この感想を読む
切ない極上の恋愛小説
クラスカーストの話であり、親から連鎖する子の貧困の話でもある。今問題視されている社会現象を取り上げつつも「私を知らないで」は極上の切ない恋愛小説に仕上がっています。白河三兎の文章がとても好きです。キャラクターも秀逸で、作中のセリフのセンスも抜群です。重い物語の内容でありながら重さを感じずに読ませるのは作者の力量でしょう。物語は複雑に絡まりあい謎が解かれつつもハッピーエンドに向かって加速します。主人公が信じたハッピーエンドが、心を震わせるようなどんなに切ないものであっても。ラストはこれでしかありえなかったからこそ「私を知らないで」は切ない極上の恋愛小説なのだと思います。