ふがいない僕は空を見たの評価
ふがいない僕は空を見たの感想
ふがいない僕は空を見たレビュー
総評 総評として、これは、とても面白い作品でした。ひとつの町の、何人かのうちの、ひとりを中心に5つの物語が語られるのだけれど、感情が爆発しまくっている。人間はいろいろなことを考えて生きているのだと感じさせられる。そして誰しも心の中にやっかいなものを抱えていきているのだろうなと思わせる、そんな作品だった。だけれど、決して暗くはなくて、そうこれが現実であり皆それを受け止めて生きていくのだと、しっかり前を向いた作品だったので、良かったと思いました。主婦と高校生主婦と高校生の、体から始まる恋愛を描かれているのだけれど、読んでいくうちにどんどん変化していく高校生の心情が手に取るようにわかってグングン引き込まれていきました。こんな強烈に引き寄せ合ったふたりなのに、立ちはだかる壁が大きすぎて、切なくて、悲しくて、なんとも言えない気持ちにさせられました。姑に不妊治療を押し付けられる主婦こんな毒親そしてこ...この感想を読む
ただの変態コスプレ不倫話ではありません。
ただの変態コスプレ不倫の卑猥なお話と思いきや、それだけではありませんでした。高校生の斎藤くんとそれをとりまく周りの人たちの5つの短編があり、それぞれ主人公が入れ替わり、コスプレ・不倫・ネットいじめ・ひきこもり・新興宗教・貧困・痴ほうなど、現代社会の問題が盛り込まれたリアルな内容で、「性」から「生」へと繋がっていました。特に「セイタカアワダチソウの空」は秀逸。幼少からの貧困生活を冷静に受け止め、辛い現実を逃げ出さずに生きている良太。一人で祖母の面倒をみて、食べるためにバイトをするも、明日食べるお米にすら困り果てる姿には胸がしめつけられます。未来には「諦め」しかなかった彼がほのかな「希望」を見いだして、現状から抜け出ようとする姿には本気で応援したくなりました。