桐島、部活やめるってよのあらすじ・作品解説
「桐島、部活やめるってよ」は、朝井リョウ作の青春小説で、2012年4月20日に集英社文庫として発売、筆者は早稲田大学在学中の2009年にこの作品で第22回小説すばる新人賞を受賞した。 男子バレーボール部キャプテンである桐島が、部員との軋轢から部活を辞めることをきっかけとして、桐島の周囲にいる同級生に些細な変化が起こり始める姿を、全5編のオムニバス方式で描く。表面上はお互い何事もないように日常生活を送っているが、実はそれぞれに悩みを抱えており、そういった登場人物の心理を描いている。桐島は作品中には直接登場せず、登場人物などの伝聞でのみ人物像が明らかになる。 2012年7月12日にはマーガレットコミックスより複数の漫画家が登場人物ごとに描く形で漫画化、同年8月11日には、神木隆之介、橋本愛ら出演でショウゲート配給にて映画公開され、第34回ヨコハマ映画祭で最優秀作品賞、第17回インターネット映画大賞にて日本映画部門の作品賞などを受賞している。
桐島、部活やめるってよの評価
桐島、部活やめるってよの感想
彼の周りの人物に注目
この作品の魅力の一つは明らかに「キャラクターの魅力」だと思う。どのキャラクターも「ああ、こういう人いるなぁ」と思えるいわば「実在感」。これは役者の演技も素晴らしいし、一つ一つのセリフがいちいち素晴らしい。主人公の桐島は本編のどこにもいない。桐島の周りのキャラクターが基本的に非常に重層的に描かれている。これが正に「実在感」の元になっていると思う。だって人間ってそうじゃないですか。まるっきりの悪人はいないしまるっきりの善人はいない。特に17歳の頃なんて自分でも何をしたいのか、何を言いたいのか分からないことばかりなんだもの。自分は17歳の時こんなこと考えていただろうかと思う。
映画も原作も面白いです。
映画「桐島、部活やめるってよ」を観てから、本作を読みました。 映画も面白かったのですが、原作の小説の方が読み進めやすく面白いと感じました。 自分がこの年代だった頃のことを思い出しつつ、出てくる登場人物に「こんな子いたなあ」と思いながら、自分の知り合いや友人をつい当てはめてしまいました。懐かしくて楽しい気分になりました。 そして、タイトルに名前が入っているにも関わらず一度も直接登場しない『桐島』が、気になってしょうがなかったです!皆が言うには彼はいいやつなのですが、いいやつなのに作中には登場しないなんて、かわいそうなやつ・・・・・・(笑)と思ってしまいましたね!
一人の影響力って。
最初は、本当にジャケ買い。インパクト大な題名と「部活」っていう響きに惹かれて買った。桐島が部活を辞めてから、周りが小さな変化を初めて行く。実際自分も部活を一生懸命やってたからわかるんだけど部活を突然辞めるって結構な出来事。それによって動く周りの気持ちが「光と影」的な表現になっている。それが、ひとりひとりのエピソードになっているので読みやすかった。きっと、高校生が読んだら、ジャストで心に伝わるだろうし、大人になって読むと、青臭かった頃の自分と重なりなんか心にズキっと来る表現にドキッとする。映画化もされているので、映画も一度見てみたい。