母親ってやつは…
由美子の上流志向はいつから?わかる、わかるよー。それが『下流の宴』を読み始めてすぐに思ったことでした。何がわかるのかって、それは母親の由美子の気持ち。私は子どもを産んで育てる過程で「この子達は絶対大学まで出す」という漠然とした使命感がありました。私の暮らす地域は大手自動車メーカーの恩恵で、そこそこの高校からでもそこそこの会社に入り、平均以上の賃金を得ることが可能です。それでも、やっぱり子供に「高卒」の肩書を背負わせるには抵抗がありました。息子が工場の作業服でガチャーンガチャーンとやるのは耐えられませんでした。その気持ちはどこから来たのか…過去を振り返ってみてもわかりません。育ってきた環境ということなのでしょう。父は会社を経営しておりましたし、家はまぁ裕福な部類でしたし。自分も一応、地元では名の通ったお嬢様学校を出ましたし。医者の娘で、自分も国立大学を出た由美子にとって、息子の名門中高一...この感想を読む
3.53.5
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