黄金の少年、エメラルドの少女の評価
黄金の少年、エメラルドの少女の感想
複雑な問題をそれぞれに抱えながらなおも希望を探し求める人々を描いた珠玉の短編集
作品要約現代の中国を舞台に過ぎ去った日々に想いを馳せる人々を描いた短編集40年の月日を一人佇みながら過去を追想する「優しさ」、親と人間の尊厳を代理母という社会問題をテーマにスキャンダラスに描いた「獄」、かつての新興住宅地で通り過ぎた思いを呼び起こす男女「花園路三号」他全9編。過ぎ去りし日の追憶は甘い記憶ばかりではないが、そこはかとない優しさと生きることへの賛歌が物語から滲み出る。読者の過去によって、物語の味わいが変わる作品集作品によって好みが真っ向から別れた。人々が過ごしてきた様々な過去に添い遂げるような作品が多い。そのため、読んだ人の過ごしてきた時間によって響く作品も異なっていくのだろう。順番にいくつか評していきたい。「優しさ」初っ端から100ページと長い中編。個人的には著者一作目とあって、独特の静かな抑揚に乗れずあまり印象に残らなかった。回想を主体としていくつもの人物が浮かび上がっていく...この感想を読む