無理やり手に入れたものは、いつか離れていく。
阿部夕子
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綿矢りさ先生にしては長めのお話この作品は湊かなえ先生の「母性」と同時並行で読んだ作品なので、ところどころかぶる箇所もあり混同しました。しかし、滅多に同時読みなんてしないわたしがなぜ二冊を同じ期間に読んだかというと、この「夢を与える」があまりにも長すぎて読んでいて中弛みしたからです。しかも綿矢先生の「ひらいて」の次に読んだため、短い文章で濃縮された一冊を読んだ後だから余計に長さが気になってしまい、集中力が続きませんでした。自分の未熟さゆえですが、しかし、今までだいたい160~170ページほどで完結する作品が多かったのに、ここにきて急に200ページを超える作品が登場して、心構えも何もないまま挑んでしまった結果、中弛みを感じてしまったんだと思います。先生の文章は湧き水が緩やかに流れる川のように滑らかで、水量も多くなく、きっと長編小説に慣れている方だったら物足りなささえ感じるほどだと思います。しかし、も...この感想を読む
チャイドルの芸能界での成功と破滅が描かれてます。シンデレラストーリーから泥沼へ転がり落ちて行くなどの大げさな展開はひと昔に流行った「スチュワーデス物語」「ヤヌスの鏡」などの大映ドラマを見てるようでした。今の時代読むにはちょっと古くさい感じで、残念な内容でした。綿矢りささんの作品を読むのは3冊目ですが、前2作とは全く文章の感じが変わった気がしました。大人になってちゃんとした文章を書くようになった、感じでしょうか。しかしながら、3作とも私の肌に合っていなかったようです。「芥川賞受賞作家が書いた小説」ということで、ちょっと踊らされてしまった自分に反省です。もう彼女の作品は手に取ることはないでしょう。
阿部夕子
美少女の夕子は、幼い頃から母に言われるがまま芸能活動を行い、大人気を博していた。しかし男との性行為の動画をネットに撒かれてしまい、過度のストレスで入院していた夕子がインタビューを受ける際、嘘で取り繕おうとする母に夕子が言った言葉。 この言葉は夕子の仕事についてだけでなく、父(当時は恋人)に別れを切り出された母が無理やり妊娠し結婚にこぎつけるも、結局母の元を離れていった父のことも指している。