万人受けはしないだろう、短編3つ。
表題作「蛇を踏む」は、第115回芥川賞受賞作品なのだそうです。この本には、その他に、「消える」「惜夜記(あたらよき)」という短編が収録されています。うーん、難しいようで、でも考える事を止めると、すうっと情景が浮かんでくるのが心地良いような、良く分からない感覚に浸れる話ばかりでした。おそらく万人受けはしないと思います。好きな人は、どっぷりと浸りたい雰囲気なのではないでしょうか…。あとがきで、作者が、「これは、うそばなしです」と書いていたので、嘘を楽しむ位の感覚で読むのが丁度良いのかもしれません。本当の事を書いたからと言って、真実が解る訳でもないのだし。面白いなあ、と思ったのは、「蛇を踏む」の主人公のヒワ子の部屋にいついた蛇が、女の姿に化けて、「私はあなたのお母さんよ」と言い、そのうち、「蛇の世界に入らない?」と言い、「お母さんが蛇なんだから、ヒワ子ちゃんが蛇なのは道理」と、とんでもない事...この感想を読む
2.52.5