とるにたらないものものの評価
とるにたらないものものの感想
とるに”たる”ものもの
エッセイとその作家これまでエッセイというものにはあまり興味がなかった。「とるにたらないものもの」の著者である江國香織も言っていた。「作品からその人の人となりや性格を憶測したり詮索するなんてナンセンス」だと。それは私も大いに賛成で、作られたフィクションの話を読んでいく中で、その表現の仕方やその人が体験しなければ書けなかったであろう心象の描写があるところを見つけては、その作家のパーソナリティを想像してみる。要はその物語の登場人物や状況ではなくて、その著者個人の頭の中を通じて作品を愉しむという読み方だ。これは全く持ってナンセンスだと思うし、むしろフィクションを読む上での醍醐味を台無しにしているとさえ思う。その延長線上で、作家のエッセイというものも私は好きではなかった。作家のパーソナリティが明らかになればなるほど、フィクションに対する感情移入はしづらくなる気がするし、ある意味で”冷め”てしまう...この感想を読む
1話2~3ページのとても短いエッセイ、60話。
1998年3月~2003年2月に、雑誌に掲載された、とても短いエッセイ60篇です。普段は目立たない、とるに足らない物たちを、著者独特の柔らかく、優しい語り口で、紹介しています。そういう、とるに足らない物たちが集まって、今の自分をかたち作っているのかな…と思ったり。著者の選ぶ、とるに足らないもの達は、私の知らない側面を持っているのを知り、なんだかとても素敵なんじゃないかと思ったり。著者の父が、生乳ヨーグルトを食べない訳は、面白かったです。なまちちって読むなんて、面白過ぎます…せいにゅう、だと思ってた…。最後の話は、そうか…と、なぜかしみじみしてしまった。そうだよ、皆子供だったんだ。