一番狂っているのは誰なのか?
2組の恋人同士からなる、仲良しグループの一泊温泉旅行についての話、に見えるけれども、実際は、一人ひとりが孤独で、ちっとも仲良しじゃないし、恋人同士も上手く行っているとは言えない…という感じ。 いつも関西弁を用いることの多い著者が、今回はなぜかそれを封印。それはそれで、新しい感じで良かったです。 構成としては、一人一人の独白、そして温泉旅館の他の客や、従業員の独白、で構成され、それぞれに謎の女と事件が少しずつ絡みます。そこはミステリーっぽい。 グループ4人の一人一人の独白を読み進めると、最初の人よりその次の人、の方がだんだん狂っている度合いが強くなり、読み終わって考えると、最後のアキオが、一見、一番無邪気な人間でありながら、実は一番暗く、狂っている度合いが強くて、ゾクっとします。 答えも救いもない話だけれども、読みやすいので、つい読み進めてしまいます。 この4人の旅行はこれで最後なのだろうな。一緒に居ても、明るい未来はないでしょうね。
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