手紙もいいなと思わせてくれるユーモアたっぷり
孤児院で育ったジュディが、文章を書く才能を認められ、匿名の慈善家の援助で大学に行くことになるのですが、その条件が手紙で様子を知らせること。というわけで、この物語は、冒頭を除き、ジュディが『あしながおじさん』とあだ名をつけた匿名の慈善家へ書き送った手紙の形を取っています。大学生活のこと、勉強の内容のこと、友達のことなど、たわいもない内容なのですが、ジュディの手にかかるとユーモアたっぷり、とてもおもしろい読み物になります。 さらに、ジュディのいいところは、援助を受けているからと言って媚を売るようなことをしたり、ただ従順に指示に従ったりするのではなく、時に、自分の意見を率直にぶつけ、指示に逆らったりもするのです。それさえも、生意気・わがままな印象にならず、痛快で面白おかしくなってしまいます。 そして、彼女の生活に彩りを添えるのが、『ジャーヴィ坊ちゃん』という上流階級なのに紳士然としておらず、永遠の少年のように快活な男性の存在です。2人は、大学でお茶をしたり、避暑地で自然を満喫したり、都会で贅沢をしたり、意見交換をしたり、親交を深めていくのです。 そんなロマンス要素も織り交ぜられた、ユーモアたっぷりの手紙の数々と、そこにそえられた思わず笑ってしまうような手描きのイラスト(作者の手描き)には、たまには手紙もいいかなと思わされます。最後まで明かされない『あしながおじさん』の正体が明かされる瞬間さえ、手紙で書かれているのですから! 離れている人に、メールではなく手紙を書いてみたくなるそんな1冊です。
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