獣の奏者 3 探求編のあらすじ・作品解説
「獣の奏者3探求編」は、2014年に国際アンデルセン賞・作家賞を受賞した上橋菜穂子による人気長編ファンタジー小説「獣の奏者シリーズ」の第3作目にあたる作品で、2009年8月に講談社から刊行された。 ‘降臨の野’の戦いから11年後、妻となり母となったエリンは、大量死した闘蛇の死因究明を命じられ、亡き母を死に追いやった禁忌の真相にたどり着く。すべての謎が解けたとき、イアルとともに幸せな家庭を築いていたエリンは再び時代の奔流に巻き込まれていく。母とは別の道を歩み出したエリンを中心に物語は繰り広げられ、壮絶な結末へと続く壮大なスケールの物語である。 獣の奏者シリーズは「闘蛇編」「王獣編」「探究編」「完結編」の全4巻と、外伝「刹那」で構成された長編ファンタジー巨編であり、コミック化、テレビアニメ化され、フランス・スウェーデン・ドイツ・タイ・台湾・韓国などで翻訳刊行されるなど国内外で高い人気を誇る作品である。
獣の奏者 3 探求編の評価
獣の奏者 3 探求編の感想
前巻から十年後が舞台
一度は前巻までで完結したが続きが見たいという要望やアニメ化したのを受けて、著者がもう一度書く気になってくれた作品です。私としても前巻の終わりはスッキリしなかったので続きを書いてくれて嬉しく思います。舞台は前巻から十年後となっています。いつのまにかエリンはイアルと夫婦になっており子供もいます。私は間を開けずに読んだので特に時間が空いたことによる違和感などは感じず、最後まで楽しく読むことができました。物語は探究編というだけあって闘蛇や王獣と政治の関わりに焦点が当てられていて、より深く作品世界について知ることができます。完結編でどんな終わり方を迎えるのか楽しみです。
伝承を聞くように、耳をすまさねば。
2巻の「王獣編」で書き切った、と一度は筆を置いた筆者があえて書きだした、「獣の奏者」のその後の物語。その後といいつつ、ストーリーの根幹を探るべくエリンが旅をする、続編というより文字通り「探求していく」話になってます。ここから突然読み始めても入ることは可能かと思いますが、ぜひ1・2巻を読んでからの読書がおススメです!このシリーズでいつも思わされるのは、物語の設定とその世界観の圧倒的な重厚さ。本来ファンタジーは苦手なのですが、ここまで細かく、合理的で、かつ人の脆さや弱さをかかえこんだ話を考えられる、作者はものすごい人だと思います。ひとつひとつの土地や道具、生き物の名前に至るまでが、するっと飲み込める説得力をたたえていて、唸ります。まるで本当にある、世界のどこかの伝承を口伝で伝えられているかのよう。異世界でありながら、切実な歴史の積み重ねの上に、登場人物たちが確かに立っている、そんな実感のあ...この感想を読む