母との関係について悩んだら読む本です。
母と娘は分かり合えないのか。
親と子の関係って、どうして こう 複雑に感じるのかな。親と子ではなくて、母と娘の関係が、複雑なのかな。わたしは娘で、もしわたしに兄がいて、そしたら 母と兄の関係 も、複雑なのかな。わたしは娘だから、そんなの一生 わかりっこないんだけれど、母は 女で、わたしも、女。
巻子と緑子、母と娘
この本は、母である巻子 その娘の緑子が 、言わずもがな母と娘である。
わたしは、母と 相容れないような気がしていて緑子に自分を重ねた。
わたしと母の関係を変える「何か」が見つかるかもしれないと思い、この本を読むことにした。母は母で 、わたしと うまくいってるとは、思っていないと思う。
緑子の頭と心の言葉を引用する。
「パソコンも好きにみれるし、それに学校はしんどい。あほらしい。いろんなことが。あほらしいとこんなふうに書くことがあほらしいけど、学校のことは別に勝手に過ぎていくことやからいいけど、家のことは勝手には過ぎてはいかないので、ふたつのことは思えない。」
学校のことは別に勝手に過ぎていくことだからいいけど、家のことは勝手には過ぎてはいかない。いつから、わたしと母は、磁石のS極とS極を近づけると互いに反発し合う、そんな感じになった。それは、わたしが いろんな事を知ったから。ランドセルを背負って「行ってきます」、「ただいま」って言っていた時は、母が すべて正しいと思っていた。あまり、怒られた記憶は無いし、だけど、母の頭の中にある、この世界に於いての「良い事」「悪い事」は、ダイレクトに わたしの頭の中に いつの間にか コピーペーストされていた。言葉を教えてくれたのは、母だったから、それも、そうか と思いつつ。
母は世界のすべてではないと、気づいたときの衝撃は、大きかった。息が苦しくなった。母が 可愛いと言ったピンクの服を着ても、サイズは、今まで通り ぴったりなのに、きつい。破けそう、破きたい。今すぐに、捨てたくなった。母はよく「他のお母さん達に比べて、ママ優しいでしょ。甘いでしょ。」と言っていた。暗示のように何度も。他の親の子になったことないから、分かんないし、比べて 何を安心しているんだか、と思っていた。母と話をしたくない時はあったけれど、急に 無視したり、無口になって、へんに勘付かれるのは、面倒くさいことになりそうだったから、話さなくなったことは ない。
わたしと違って、ある時から、緑子は巻子と 声を出して 話さなくなった。巻子と話す時は、筆談をしている。
急に、声を出して喋らなくなるのって、大きい決意 気持ちだなって思った。
巻子は、そのことについて どう思っているのか。巻子と巻子の妹の会話の中で、巻子は、こう言っていた。
「あたしもそら初めのほうは色々聞いたりやってみたけどもずっと同じ調子やねん。何らそらきっかけがな、あたしにあったかなんかしたかも知れんねんけど、それどんなけ訊いてもゆうてくれんし、喋ってくれんし、怒ってもしゃあないし、困ってるけど、困ってはおるけど、そやからあたしも、まあ、そういう時期やと思って、そういうことにしてるところはあるねんわ」
わたしは 緑子 を自分に重ね合わせているから、そっとして欲しいって思った。
干渉は、親の特権じゃないから。
生理がきて、からだが大人になる。
緑子は、生理がきても 巻子に言いたくない。
私も、そうだった。言いたくなかった。
友達は、みんな 何の躊躇いもなく、お母さんに「生理きた!」って、言ったのかなあ。
生まれた時から、女ではあったんだけど、おっぱいが大きくなってきて、生理がきて、女になった。お風呂は、1人で入る。洗面所に、ドライヤーをしに 家族が くるけど、絶対に 裸を見られないようにする。その警戒レベルは、ものすごいよ。
わたしと母は、女と女だから、相容れないのか。それとも、わたしが、母がすべて正しいわけじゃないと知ったから、相容れないのか。両方なのか。
高校を卒業して、働くようになってから、お金の面でも、ちょっと。揉めてないけど、母との距離は、遠くなったと思う。
緑子が自分の頭に卵をぶつけるシーンがある。何個も何個も。巻子も自分の頭に卵をぶつける。分かり合えなくて、だけど、分かって欲しい事なんかない。母が 悪いわけでも、娘が悪いわけでもない。ただ 近づきたくても 近づけないの。だって、同じ極の磁石を近づけたら、反発するでしょ。同じ極っていうのは、女だからってだけではないと思う。友達は生理がきたら「おはよう」みたいな感じで、お母さんに言うんだから、そうでしょ?
乳と卵
わたしは、自分の頭に 卵をぶつけて ぺしゃりと割る。何度も何度も。何個も何個も。
その音は、心地いい。わたしは、母と分かり合えないままで、それでいいんだって、生きていくんだけど、「乳と卵」って、優しい響きだよね。わたしは母から生まれたんだった。母のおっぱいを飲んだんだった。
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