残酷表現が秀逸なセル画アニメの傑作 - 剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-の感想

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剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-

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映像
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ストーリー
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キャラクター
5.00
声優
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音楽
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残酷表現が秀逸なセル画アニメの傑作

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

一大巨編ダークファンタジーの前日譚

『剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-』は1997年に放映された原作漫画『ベルセルク』の黄金時代編を描いたアニメ作品です。黄金時代編では主に人間同士の争いが描かれていて、第一話と最終話近辺を除くとモンスター的な存在としては不死者のゾッドぐらいしか出演しません。そのためダークファンタジーの前日譚と言うことができるでしょう。制作したのは『ポケットモンスター』シリーズでも有名なオー・エル・エムです。3DCGやデジタル彩色では味わえないセル画のアニメ独特の迫力のある作品として仕上がっています。

原作の『ベルセルク』はその書き込み量が尋常では無い事でも知られているのですが、アニメ作品として綺麗に落としこんでいると言えるでしょう。ディティールを簡素化しているのにも関わらずアニメでしか描くことのできないシーンを見事に描ききっています。ガッツが巨大な剣を振り回す剣戟のシーンは中々他のアニメで観られるものではありません。特に質実剛健な主人公が思い武器を振り回すという、現行のファンタジー作品とは真逆な設定なのでここに唯一無二の価値があると言えるでしょう。

ただ惜しむらくはやはりこれが「前日譚」であることです。「蝕」を向えてグリフィスがゴッド・ハンドになるところからダークファンタジーが始まるので、多くのファンは続編を熱望したことでしょう。特に「蝕」の光景は凄まじいものでした。グロテスク表現にエロス表現が加わり悪徳の限りをよく描いています。現在のアニメをとりまく状況ではこうした表現を見る事は難しいかもしれません。アニメ作品で残酷な表現を見たいなら本作を欠かすことはできないでしょう。

2012年から始動したベルセルク・サーガプロジェクト作品との比較

1997年から時を経て2012年から「ベルセルク・サーガプロジェクト」が始まり黄金時代編を描いた映画が公開されました。制作は『MEMORIES』や『スプリガン』で有名な「STUDIO 4℃」となります。ただその表現方法はバリバリの3DCGでした。もちろん描写力は素晴らしいのですが、既にセル画アニメのイメージが強かったファンとしては違和感を拭いきれないというのが本音かもしれません。

そして2016年からベルセルクの新しいアニメシリーズが始まるのですが、こちらもやはり3DCGでの表現を採用しました。制作はLIDENFILMS、GEMBA、ミルパンセといったところで、CGの出来は当初酷評されることも多く確かに「待ち望んだベルセルクのアニメ」では無かったといえるでしょう。ただ話を重ねるごとに2DCGを入れ込んだり3DCGの動きがこなれてきたりと段々とクオリティは上昇していったように思います。実際に次の話が楽しみなアニメとなりました。

ですが正直に言うと『剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-』を待っている自分が存在することも事実です。シーンの合間に2DCGが挟み込まれる場面で(これ!このクオリティのやつで全部作って!)と突っ込みの声が聞こえてくるのが本音となります。もし『ワンパンマン』のスタッフがベルセルクの新シリーズを作っていたら…と妄想するのは私だけでは無いでしょう。

アニメの魅力を改めて教えてくれる傑作

現在、昔とは異なりアニメ作品数自体は急速な勢いで増加しています。ですがそれらが全てユニークで面白いテーマを掲げているかというとそういう訳ではありません。どこかで見たような設定や登場人物が活躍する話を何度も見ている気さえしてくるものです。その中でベルセルクは設定、キャラクター、ストーリー共にあらゆる点でユニークな作品と言えるでしょう。そしてこの作品にはやはり3DCGではなく2DCGを採用するべきでした。それは『剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-』を見ればわかります。3DCGでは表現できないアニメーションの世界がそこには広がっているのです。

セル画と2DCGの比較で言うと、2DCGの表現力は素晴らしいものと言えるでしょう。特段現代においてセル画を採用する理由はありません。むしろセル画だけでアニメを作ろうとすると途轍もない資本が必要になるはずです。『剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-』自体もかなりの資本を投入されて制作されたアニメなので、現代において同じような投資が受けられるかは分かりません。そのため、今となってはセル画を使用したアニメという付加価値もついていると言えます。

『剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-』はベルセルクの映画作品や2016年から始まった新シリーズとは異なる魅力を有しています。むしろ原作を最も良く表現しているアニメ作品と言えるのです。1997年という古い作品とはなっていますが、未見の方は1度ご覧になると良いでしょう。もちろん見たことがあっても再度見直すと(そうそうこれだよ!)と内なる声が聞こえてくるかもしれません。

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