ビタミンFのあらすじ・作品解説
「ビタミンF」は、重松清による小説である。1999年から2000年にかけて小説新潮に掲載され、2000年に新潮社より発行された。2000年(第124回)の直木賞を受賞した作品である。 この小説は、7つの短編集からなっている短編小説集である。中学生の息子との距離感に迷う父親、クラスでいじめられている女子生徒の話を事細かにする娘に困惑するが実はいじめられているのは娘自身であり苦悩する両親など、突然妻から離婚を切り出される夫など、家庭問題や学校での問題をテーマにしている。タイトルの「F」はFamily、Father、Fortune、Fragileなど、Fからはじまる英単語を意味しており、それぞれの小説のテーマであると、あとがきで著者は綴っている。 NHKBS-2にて、2002年にテレビドラマ化され、大杉蓮・三上博司・温水洋一らが出演、7つの短編のうち6つが実写化となった。なお、2002年度文化庁芸術祭参加作品である。
ビタミンFの評価
ビタミンFの感想
作品ごとに違う感動が味わえる!
短編の作品力短編の小説集となっているビタミンFは、直木賞受賞作だけあって、どの作品をとっても読みごたえのある作品に仕上がっています。同じ作者が書いている短編作品集だと、マンネリ化したストーリーだったり、パターン化された登場人物になっている事が多いのですが、重松清氏は様々な登場人物の視点から、いくつお話しを作り出しました。作家である前に人間なのですから、自分を通して登場人物を描きます。そうすると、やはり男性の見方が強くなったり、自分が考えている正論を押し付けようとする作品に仕上がってきますが、この作品集はそうではありません。どこにでもある家庭、夫、妻、子供達が、心の奥底に隠してある弱い部分や悲しい部分、いつもは見たくないと思っている心の奥底にある気持ちをさらけ出してくれるのです。読者に「そうだ、自分もこう思ってた」と感じると同時に、その気持ちをどうしたらいいのか?相手はどう思っているのか...この感想を読む