疾走のあらすじ・作品解説
疾走は2003年に角川書店から刊行された重松清による長編小説である。 この作品はシュウジという14歳の少年の孤独な魂を描いた小説である。シュウジにはシュウイチという優秀な兄がいたが、高校に入ってから落ちこぼれ、放火をする。この地方では放火を行ったものは「赤犬」と呼ばれ、一族郎党を排除するように街全体が行動する。兄が捕まり父親が失踪し、母親も騙されギャンブルに沈んでいき一家離散となる。親友や初恋の相手エリもいなくなり、シュウジはすべてを捨てることにするが、逃げた先の東京でも給料を搾取されたり同僚の老人に騙されたりする。一家離散、いじめ、暴力、セックス、殺人など過酷な人生を生き抜いた少年の軌跡を描いた現代の黙示録的小説である。 2005年にはNEWSの手越祐也韓英恵ヒロインで映画化された。映画は第1回ニュー・モントリオール国際映画祭コンペティション部門と、ベルリン国際映画祭のパノラマ部門の招待作品となった。
疾走の評価
疾走の感想
表紙が怖いです
読み終わって、その表紙になった意味がわかった気がしました。阿鼻叫喚というか…とても悲しい結末で辛いです。重松清さんの描く人間がリアルであるが故に、ここまでも辛い世界を描くことが出来たんだろうなぁと思いました。とにかく辛いです。暗い話も好きですが、子供が悲しい結末を迎えるのが悲しすぎてダメです。でも、重松清さんの文章がとても好きです。新聞配達のアルバイトで、信じていたおじさんの裏切りが一番エグい感じがしました。少年の心の描写が半端なくて揺さぶられます。後味が悪いのに、人間にはきっと、こんな面が絶対あるんだろうなというものを見せられている気がしました。