ララピポの評価
ララピポの感想
A LOT OF PEAPLE
6人の人生がリンクしあうストーリーこの作品は登場人物たちの生活がそれぞれとリンクしていくタイプの物語だ。誰かが誰かの人生につながっているこの手の話は、登場人物に魅力がなければ全てが駄々崩れしてしまう危険があるけれど、今回の作品は全ての登場人物たちが身近で、だからこそ感情移入してしまう魅力にあふれていた。正直、皆その辺にあふれている人たちだ。引きこもりに近いフリーライターの博は初対面の人とは話せても、知り合いと話すことにひどく億劫になってしまった人間だ。デブだからゆえいじめられた経験をもつ小百合は、意外にも男性には事欠かない。うまく誘い出して手作り裏DVDを作成し、副業としている。あとは風俗専門のスカウトマン。女性に働いてもらうことが自分の収入に直結する彼は、あまりその職業には似つかわしくない良心を発揮して女性たちを癒している。他にも登場するあわせて6人のキャラクターが生き生きと(実際に...この感想を読む
奥田英朗ファンに是非。
どういう経緯でこの本に出合ったのかはよく覚えていませんが、奥田英朗氏の本を1冊も読んだことのなかった私が、初めて手にとった奥田作品でした。内容は簡単にいえば短編集です。しかし、ただの短編集ではなく、登場する人物すべてにスポットライトを当てた短編が収録されていて、最終的にみんな繋がっている・・・すごく複雑な構成に驚いた覚えがあります。人間の憎悪や欲望といったドロドロとした感情を、率直に見つめてコミカルに描いている作品だと思います。それから、エロい描写の多いことにびっくり。これは子供には読ませられない、大人の小説ですね。他人から見て幸せに見える人も、本人からしてみれば結局は不幸であったりするかもしれない・・・そんなことを感じさせてくれる作品だと思います。私個人的には、すごく面白かったです。この後、奥田氏の小説を数冊拝読させて頂いたのですが、この「ララピポ」は奥田作品初心者には不向きな作品だ...この感想を読む
いかんともしがたい気持ちになります。
題名の意味は本編に出てきます。「なるほど、シャレがきいてるやん」と納得。短編小説ですが、登場人物は全編でつながっています。そして、ほとんどがエロ描写! 引きこもりフリーライター、風俗スカウトマン、デブ専門裏DVD女優兼テープリライターなど、社会からはみ出し気味な人々が主人公です。性欲、現代の裏社会などドロドロした部分が軽快に書かれてますが、主人公たちに救いをのべることは一切ありません。あまりのリアルさ(ある意味グロテスク)にめまいがしました。そして、各編の主人公の悲惨な終わり方にはいたたまれない気持ちになりましたが、最終編ではちょっとだけ救われました。読み終えて、現代の格差社会をまのあたりにして、ずーーんとした気分になり、「ちょっと道を外すと自分もこーなってたのか、それとも、これからこうなっちゃうのか?」と、いかんともしがたい気持ちでいっぱいになった本です。この感想を読む