陰日向に咲くのあらすじ・作品解説
陰日向に咲くは、2006年に幻冬舎から出版された、太田プロ所属のお笑い芸人劇団ひとりの小説である。劇団ひとりは、この小説で作家デビューを果たした。また、この小説は「お笑いタレントが本気で書いた小説」として、話題と注目を集めた。 大ボラ吹きで有名なホームレス「モーゼ」に感化され、自らもホームレスになった元サラリーマンや、売れないアイドルを応援し続ける青年、合コンで知り合った男性に弄ばれる女子大生、借金に困った挙句に「オレオレ詐欺」に手を染める青年、売れない芸人と彼を売れっ子芸人にするためにコンビを組む女性など、社会的に陽の当たらない人々を描いたオムニバス形式となっているが、作中でそれぞれの登場人物が少しずつ接点を持っているように描かれている。 この小説が話題となり、後に平川雄一朗が監督を務め、映画化され、2008年に公開されたが、この映画化をめぐって、数十社もの会社が争奪戦を繰り広げるほどであった。
陰日向に咲くの評価
陰日向に咲くの感想
まぁ、タレント本です。最近見なくなりましたねー
結構シュールなギャグなどでちょっとインテリっぽさが売りのお笑い芸人である劇団ひとりの小説作品ですね。まぁ、色んな芸能人が小説家デビューをしていきますが、これも多分にもれずそのクオリティーですね。コントの脚本を拡大して文章化したって感じでしょうか。劇団ひとりが好きな人ならたのしめるのではないでしょうか。そんな人今どれくらいいるのか微妙な数だと思いますが。劇団ひとりらしいちょっとエッジがきいたお話が何本か読めます。しかし、まぁちょっと、ってかんじです。小説家のような鋭さとかはないです。もし、ブックオフとかで100円コーナーにつんであったら、手にとって見ていいのではないでしょうか。
好みではないものの……
ハッキリ言って好みではない。なんというか、、実に劇団ひとりさんらしいというか。劇団ひとりさんのコントのように、全体的に哀愁ただようユーモラスな雰囲気があって。それが面白可笑しく笑って済まされない感じを出している。でもそれが味になっているような。面白くない、とは言い切れない魅力なんだろうなぁ、と思う。多分そこら辺が、一時期もてはやされた理由なのではないだろうか。いわば、いかにも人間くさいところ。そして構成が素晴らしい。連作短編のようなかたちを取っていて、最後にはそう来るか!という感じ。いろんなところがつながっている短編集はやはり面白いもので。文章もしっかりされていたし、物語を紡ぐ才能がおありなんだろうなー。
息子への愛情たっぷりの解説が素敵でした。
ホームレスを夢見るサラリーマン。売れないアイドルを応援する青年。ぼんやりカメラマンに憧れる女子大生。詐欺師をはたらく借金まみれのギャンブラー。売れない芸人を好きになった女の子。さまざまな日の当たらないキャラが登場しますが、最後にはひとすじの光がほんわかとさしたような感じの笑いあり、涙ありの連作短編です。各編の人物が繋がっていく展開が上手い!と唸ってしまいました。特に「Overturn」のラストはベタだけど号泣してしました。そして、最後の解説は劇団ひとりのお父さま。息子の幼少のころのアラスカ生活から今に至るまでの思い出が綴られていました。基本的に息子が好きなようにやらせてあげ、高校中退などの数々の逆境においても「人生、何が幸いするか分かりません」と肯定して、長い目で息子を見守り続けてくれています。そんな愛情たっぷりな素敵な解説でした。