全員心に思う「無理」の二文字のストーリー
「最悪」「邪魔」に続いてタイトル「無理」は、その前に出版されているこれら2文字のタイトルを思い出させる。そしてそれら2冊のタイトル同様かなりの長編でもある。だけど、奥田英朗らしい無駄のない文章とテンポのよい展開であっという間に読んでしまった。読んでしまって思ったのだけど、このタイトルセンスは抜群だと思う。「最悪」も「邪魔」も思ったけれど、そのまま無理!なのである。それがとても面白く、シリアスなんだけれどどこかニヤリとしてしまうような、そんな感じの作品だった。ストーリーとしてはいくつかの話が同時進行していく話だ。議員の様々なしがらみに苦しめられる生活、老人相手に詐欺を働いている若者、宗教に精を出す女性。その中でも主人公のような役割を持つのは、生活保護を承認する部署に勤務する友則だ。不正をしては生活保護を掠めようとする不精なシングルマザーや、召使のようにこきつかおうとする老人の相手など、人...この感想を読む
3.53.5
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