馬鹿ですね。責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです
秋山一樹
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タイトルはずっと前から聞いたことがあり。やっと読めて良かったのだけれど、期待が大き過ぎたかもしれない。まず「メジャースプーン」の役割がよく分からなかった。それが悪意を掬い取ってはかることと結び付けられているのは分かる。でも無理矢理出現させられた小道具のような気がしてしまう。たとえで出て来るだけならまだしも、うさぎの石が付いていて、そのうちひとつを主人公がもらって、というのはなんだか浮いて感じてしまった。秋先生や月ちゃん、恭司まで出て来たのは嬉しかったし、あれで解明されなかった謎がここで明かされるとは!と分かった時には興奮したものの、全体的な面白さはイマイチ。復讐はどこまで許されるもので、人の命はどれほど重いものなのかというのも、正解はないということが言いたかったのだろうか。もやもや。
とにかくよく考えられて書かれている作品だと思う。自分の身近に世間的にはさして大きな罪ではない事件が起きる。非人道的なことだけど、罪は「器物破損」程度。罰もさして大きくない。でも、自分の大好きな人がとてもとても大きな心の傷を負い、失意のどん底に落ちたら。小学校4年生の僕はどんな罰を与えるんだろう。もし、自分がその子のためにどんな罰を与えるんだろう。そんなことを考えながら読み進める物語。言葉で人を操れる能力を持った4年生の男の子が、7日間悩み出した結論は驚き。小学生、中学生、高校生、読んで欲しいな。命の大切さや罪と罰、言葉の表現、理不尽、いろんな事を考えさせられるいい本だと思う。
主人公は不思議な力を持った小学校4年生の少年です。「AをしなければBになってしまうだろう。」相手にとって耐えられないようなBを設定することで相手に強制的にAをさせることができるという。主人公は言葉に強制力を持たせる力を持っています。自分たちの小学校で飼育しているウサギを切り刻まれ自分の大切な幼馴染が第一発見者となりショックのあまり言葉を話せなくなってしまいます。主人公が犯人に罰を与えるために使う言葉とは一体どのようなものか。設定も構成もとても練られていてうならされます。重いテーマであっても読後感は爽やかです。本作が好きな方は「名前探しの放課後」もぜひお読みください。
秋山一樹
主人公の「ぼく」が、ふみちゃんが傷つくことが嫌なのは自分のための自分本位な気持ちでふみちゃんのことが好きだからじゃないんだと泣きながら言ったときに返した言葉
秋山一樹
友だちのふみちゃんを傷つけた人間に復習したいと考える主人公に被害者と加害者の関係についての考えを話す
秋山一樹
痛ましい事件をきっかけに、学校へ来ることも難しくなってしまった主人公の友達、ふみちゃん。彼女を小馬鹿にした同級生を見た主人公は、怒りのあまり思わず言うべきではない言葉を叫んでしまいます。 感情に任せて言ってしまったことを後悔する主人公に対し、秋山はこう語りかけます。