強運の持ち主の評価
強運の持ち主の感想
女性占い師が主人公である、4編の連作短編集
ルイーズ吉田という、女性占い師が主人公の4編の連作短編集です。その恋人が、すごい強運の持ち主で、占い的な相性も良い、通彦。だけど、現実的にはパッとしない公務員。2人が、まったりと部屋で過ごしたり(同棲しています)、大型スーパーで買い物デートしたり…している場面が、占い師としての活躍の場面と同じ位あって、のんびりしたムードが漂っているのが良かったです。通彦って、ふり仮名が無くて、読み方で悩みました。「みちひこ」でいいのかなあ、と。まるで人生相談のような、直感に頼った占いをする、(けれど特殊能力は無い)ルイーズが、4編の短編を通して、少しずつ人間的に成長していくのが、いいなあと思いました。ほっこりとした温かみのある文章で読みやすく、読後感も良いので、好きな本です。続編が出るといいなあと思いました。
作者のメッセージがハテナ
自分が占いのたぐいを信じないほうなので、そのせいかもしれないけれど、あまり面白く感じられなかった。というよりも、作者がこの本を通していったい何を伝えたかったのだろう? というところがよく分からず。普段本を読んでいる時、一冊一冊に対して同じことを考えているわけではないのだが、それにしても、最後まで読んでも訴えてくるようなものが無いように感じられてしまって。占い至上主義みたいなことでないのは確か; 人をこんなふうに占うって、それでお金もらうっていうのはどうなんだろう……。いろんな人がいろんな問題を抱えていて、占いをやっていると自然とそれと向き合う機会が多くなる。皆頑張って生きてる、みたいなことかなぁ。もやもや。
瀬尾作品の中ではいまいち。
占い師ルイーズの短編集。ルイーズは占いというよりも、直感と人生相談でお悩みを解決していきます。結局、占いを訪れる人って、「答え」は出てるのに背中を押してもらいたくて、無意識にやってくるんでしょうね。瀬尾作品の中では、私にはちょいと物足りなく、そんなに心に響くこともありませんでしたが、軽い感じでサラサラ読めました。個人的には恋人の通彦と過ごす平凡な日常の描写が好きです。通彦の作るでたらめな料理を何やかんや文句を言いながらパクつく姿やショッピングセンターでデートするのが一番落ち着くというあたりが、長年連れ添っても変わらない関係が続きそうで微笑ましいです。