おしまいのデートのあらすじ・作品解説
「おしまいのデート」は瀬尾まいこ作の短編集である。 著者は大阪府出身で、2011年に退職するまでは中学の国語教師をしながら執筆活動をしていた。2001年「卵の緒」でデビュー。第7回坊ちゃん文学賞大賞を受賞している。2004年に発表した「天国はまだ遠く」は2008年11月に映画化され、全国公開もされている。 本作品では色々な形の人との出会いと繋がりを「デート」として取り上げている。 祖父と孫、元不良と老教師、あまり仲は良くないが同じクラスの男子生徒同士、協力して捨て犬の世話をすることになったなんとなくどこか抜けている感じのOLと男子学生など、性別や立場を越えたさまざまな人との出会いと別れの日常を、瀬尾まいこ流の目線でやさしく切なく描いている。 装丁イラストには美味しそうな天丼が描かれているが、本作を読了後には安いたまご丼が食べたくなったり、もう少し登場人物たちのその後を追いかけたくなるような印象を残す作品となっている。
おしまいのデートの評価
おしまいのデートの感想
恋愛ではない、「おしまいの」デート、5編
デート、と題名に書いてあるので、恋愛ものかと思いきや、違いました。孫と祖父、恩師と生徒、男子高校生同士、30代バツイチOLと男子学生、女性保育士と園児、という、恋愛関係のデートではない、「おしまいの」デートの短編集、5話でした。どれも心温まる話で、読後感がとても良いです。せつない話もあるけれど、前を向いて生きていこう、という気持ちになれます。「ランクアップ丼」の、上じぃの話は、途中で展開が読めてしまったけれど、それでもいい話でした。せつないけれど。「デートまでの道のり」は、主人公の女性保育士の思いこみぶりがコミカルで面白かったです。私から見ると、たくさん勘違いしていると思うんだけど、最後には辻褄が合っている所が、愉快でした。