幸福な食卓のあらすじ・作品解説
幸福な食卓は日本の女性小説家の瀬尾まいこによる日本の小説で、2004年11月に講談社より刊行されたものである。また、第26回吉川英治文学新人賞受賞作品でもある。 主人公、中原佐和子の父親が突然食卓で「父さんは今日から父さんをやめようお思う」ということから物語は始まり、母親は家を出ていってしまい、優秀だった兄は大学へ行かず農業を始め、家族がバラバラになっているときに、塾で大浦勉学と出会い、2人が同じ高校へ合格しともに高校生活を送る中で、佐和子の心の支えとなっていく様子が描かれている。 家族崩壊が基となる物語でも全体的にあたたかな雰囲気で描かれ、特に若い女性層を中心に好評を得た。 2006年にはコミック化され、2007年1月27日には小松隆志監督による小説を原作とした同名タイトル映画が公開された。主人公の中原佐和子をを北乃きいが演じ、大浦勉学役を勝地涼、ほかに平岡祐太、石田ゆり子、羽場裕一らが出演した。
幸福な食卓の評価
幸福な食卓の感想
一見壊れてる、でも本当は温かい家族の物語
同じ主人公と、その家族達の短編小説4編で構成されている本です。ある日「父さん」を止めてしまった父さんと、別居している母、天才児だったのに、大学に行かず、農業をしている兄、そして主人公の佐和子。壊れてしまっているように見えて、温かく繋がっている家族の話です。みんなが優し過ぎるから、崩壊していったのかもしれないけれど、これから、ゆっくり再生していくのだろうなと思わせるラストです。かなり衝撃的な事があるのが、ちょっと残念というか、他に方法は無かったのかと寂しいのですが、仕方ないのかな。やたらシュークリームを作ってくれる、兄の彼女が、読んでいくうちに、実は良い人なんだな、と思って、面白かったです。
壊れた家族だけど、実は支えあっている
私は、この作品を読んで、人はやっぱり一人では生きていけないのだと言う事を改めて感じた気がします。 「父さんは今日で父さんをやめようと思う」と、父さん辞める発言をした父や、父さんのある出来事がきっかけで家出している母。とっても優秀だったのだに大学に行かず農業をしている兄。そして温和なさわこ。一見見るとみんな背中合わせで生きていくの!?と錯覚しがちですが、実はみんな自身の中の葛藤ともがいていて、決して家族の事を見放した訳ではなく、心温かい家族なのだという事が、読んで行くにつれ理解できます。 そしてさわこと転校生である大浦くんの関係は読んでいてとても微笑ましく幸せな気持ちになれます☆ が・・・まさかのラスト・・・。悲しい。。 でも、希望を持って前を向いて生きていく事。そして沢山の人の支えで人は生きているということをこの小説に教えてもらったような気持ちになりました。
壊れてるのに幸せそうな家族
自殺未遂の経験のある父さん。家出中の母さん。天才児だったのに大学に行かず、農業にいそしむ兄。そして、私。それぞれがちょっとずつ壊れている家族だけど、みんな善良で優しく「支え」あって生きている様子が温かかったです。本当に壊れてる家族なのかな?私にはむしろ幸せそうにうつりました。ただ、もうちょっとワガママでもいいんじゃないかと思いました。のほほんと進んでいたけど、このままのほほんと終わると思いきや、最終章の辛い展開にビックリ!! 瀬尾さんの作品にしては意外!?だと思いましたしたが、ラストはほんわりと希望の光がさしてたようで、ちょっと安堵。自分は一人で生きているわけではない。悲しいことがあっても、周りに支えられて生きていくことができる。だから、誰かを大事に思う気持ちを忘れてはいけない。あらためて強く感じることができた作品です。